宮若市自治基本条例
平成22年12月28日
条例第17号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第10条)
第2章 市政運営(第11条―第15条)
第3章 情報共有の推進(第16条―第21条)
第4章 地域コミュニティ(第22条―第25条)
第5章 市民活動団体(第26条―第28条)
第6章 条例の見直し(第29条)
附則
私たちの宮若市は、福岡市、北九州市両政令指定都市の中間に位置しながら、水や緑などの豊かな自然に恵まれた中、農業、観光をはじめ、歴史、文化、伝統がしっかりと継承されたまちです。また、明治・大正・昭和と国の発展を支えてきた石炭産業に代わり、自動車関連企業を中心とした商工業など、多様な産業が集積するバランスのよい自立したまちとして着実に発展していこうとしています。
そして、今、私たちを取り巻く環境は、少子高齢化、人口減少、地球規模の環境問題、市民ニーズの多様化など、まさに大きな時代の転換期にあります。
私たちは、この転換期に、市民等が自ら進んでまちづくりに参加し、協働する「協働の精神」を確実に次の世代へと引き継ぎ、私たちのまちを、将来にわたり、連綿として受け継がれてきた宮若のよさを活かした真に住みやすいまちとして維持、発展させていかなければなりません。
私たちは、市民憲章に掲げた市民等としての心構えとまちづくりの主体である市民等が協働する理念を尊重し、将来の夢や希望を実現できる輝くふるさとを目指し、ここに宮若市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、宮若市の自治の基本的事項を定めることにより、市民等の参加による開かれた市政運営を図るとともに、協働によるまちづくりを推進し、もって個性豊かで活力に満ちた住みよい地域社会の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民等 市内に住所を有する者、市内で働く者及び学ぶ者、市内に不動産を有する者並びに市内で事業活動その他活動を行う者及び団体をいう。
(2) 市 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び公営企業管理者をいう。
(3) 協働 市民等と議会と市とが、それぞれの役割と責任を担いながら、対等の立場で、相互に補完し、協力することをいう。
(4) まちづくり 活気のある明るく住みよいまちにするための公共的な事業や活動をいう。
(この条例の位置付け)
第3条 市民等、議会及び市は、本市のまちづくりの最高規範として、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない。
2 市は、総合計画その他計画の策定及び他の条例等の制定改廃に当たっては、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。
(協働の原則)
第4条 まちづくりは、市民等に市政への多様な参加の場と機会とが保障され、市民等と議会と市とが適切に役割分担し、協働することにより推進する。
(情報共有の原則)
第5条 まちづくりは、市政についての情報が市民等に公開され、市民等が市政について意見を提出し、その情報や意見を市民等と議会と市とが共有することにより推進する。
(市民等の権利及び責務)
第6条 市民等は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参加する権利を有する。
2 市民等は、市政についての情報を知る権利を有する。
3 市民等は、まちづくりに参加するときは、自らの発言と行動に責任を持たなければならない。
(議会の責務)
第7条 議会は、市民の代表として選ばれた議会議員によって組織された本市における議事機関であることを認識し、市民等の信頼に応えるため、積極的に活動しなければならない。
2 議会は、市政運営が常に適切かつ公正に行われているかを監視するとともに、議会議員の有する政策提案権等の充実を図り、公共の福祉の増進を図るため、市政運営の円滑化に努めなければならない。
3 議会は、市民等と議会活動に関する情報を共有するよう努めなければならない。
(市長の責務)
第8条 市長は、市民の信託に応え、宮若市の発展と市民福祉の増進を図るため公正かつ誠実に市政を執行しなければならない。
2 市長は、宮若市の代表者としてこの条例の理念に従い、協働によるまちづくりを推進しなければならない。
3 市長は、職員の育成と能力の向上を図り、効果的に市政を運営しなければならない。
(市の責務)
第9条 市は、まちづくりの理念に基づき、市民等の参加と情報共有を基本とし、市民等との協働を図りながら、適切かつ公正に市政運営を行わなければならない。
2 市は、市の実施する政策等の立案及び実施のそれぞれの過程において、必要に応じて、その内容、手続等を市民等に説明しなければならない。
3 市は、市民等の意見、要望等の申立てに対して、必要に応じて事実関係を調査し、誠実に応答しなければならない。
(職員の責務)
第10条 職員は、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 職員は、職務に必要な専門的知識の習得及び能力向上に努めなければならない。
3 職員は、自らも地域の一員であることを自覚し、市民等としての責務を果たすとともに、協働によるまちづくりに配慮して職務を遂行するものとする。
第2章 市政運営
(基本構想等)
第11条 市は、まちづくりの理念に基づき基本構想を定め、総合的かつ計画的な市政運営に努めるものとする。
2 市は、基本構想、基本計画その他市の施策の基本となる計画を立案するときは、市民等に参加の機会を保障しなければならない。
(財政運営)
第12条 市は、財源を効率的かつ効果的に活用し、最少の経費で最大の効果を挙げるよう財政運営を行うものとする。
2 市は、市民等に財政状況を分かりやすく説明するため、予算、決算その他市の財政状況を公表するよう努めなければならない。
(行政手続)
第13条 市は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、条例等に基づき市が行う処分及び行政指導並びに市に対する届出に関する手続について必要な事項を別に条例で定めるものとする。
(法令遵守及び公益目的通報)
第14条 市は、市政運営の透明性の向上を図るとともに、公正な職務の執行を推進するため、法令遵守制度について必要な事項を別に条例で定めるものとする。
2 市は、市政運営上の違法行為及び公益の損失を防止するため、公益目的通報に関する制度について必要な事項を別に条例で定めるものとする。
(安全安心)
第15条 市は、市民等が生命、身体又は財産に対して危害を受ける不安を覚えることのない安全で安心して暮らせるまちづくりの推進について必要な事項を別に条例で定めるものとする。
第3章 情報共有の推進
(情報の公開及び提供)
第16条 市は、公正で開かれた市政を実現するため、別に条例で定めるところにより、市の保有する市政についての情報を速やかに公開しなければならない。
2 市は、情報を提供するに当たっては、その内容を市民等に分かりやすく提供するよう努めなければならない。
(個人情報の保護)
第17条 市は、個人情報の権利利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、個人情報を適正に管理しなければならない。
(会議の公開)
第18条 市の審議会、審査会、その他の附属機関及びこれに類するもの(以下「審議会等」という。)の会議は、法令又は条例等に特別の定めがあるもの、個人情報の保護、公正な審議その他会議の円滑な運営に支障がある場合を除き、原則として公開するものとする。
(委員の公募)
第19条 市は、審議会等の委員の選任に当たっては、市民等による公募の委員を加えるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する審議会等については、この限りでない。
(1) 法令で委員の資格要件が定められている審議会等
(2) 専門的知識が要求される審議会等
(3) その他委員の公募が適当でないと認められる審議会等
2 市は、前項に規定する審議会等の委員を公募しようとするときは、審議会等の目的、募集人員、応募方法その他必要な事項を事前に公表しなければならない。
(パブリックコメント)
第20条 市は、市政における意思決定過程への市民等の参加の場を確保するため、市長が別に定めるところにより、パブリックコメント(意思決定前に市民等の意見を求める手続をいう。)を実施する。
2 市は、パブリックコメントの実施に際して市民等から寄せられた意見に誠実に対応しなければならない。
3 市は、パブリックコメントを実施しようとするときは、パブリックコメントの対象、実施方法その他必要な事項を事前に公表しなければならない。
(住民投票)
第21条 市は、市政に関する重要事項について、市民の意思を直接問う必要があると認めるときは、住民投票を実施するものとする。
2 住民投票の実施の判断は、市民の意向に十分に配慮したものでなければならない。
3 市は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
4 住民投票の実施に関し、投票に付すべき事項、投票資格者、投票の期日、投票の方法、投票結果の公表その他必要な事項は、その都度、条例で定める。
第4章 地域コミュニティ
(地域コミュニティの定義)
第22条 地域コミュニティは、地域性と共同意識を基盤に、住みよい地域社会をつくるため、自ら取り組むことを目的として自主的に形成された団体をいう。
(地域コミュニティの役割)
第23条 地域コミュニティは、地域住民のつながりを強くするとともに、地域の課題の解決に向けて計画的に取り組み、個性豊かで活力に満ちた住みよい地域づくりに努めるものとする。
2 地域コミュニティは、様々なまちづくりの主体と交流及び連携し、協働によるまちづくりの推進に努めるものとする。
(地域コミュニティ活動への参加)
第24条 市民等は、地域コミュニティ活動への理解を深め、その活動に自主的に参加し、又は協力するように努めるものとする。
2 市民等は、自らが地域コミュニティの担い手であることを認識し、そのコミュニティを守り育てるよう努めるものとする。
(地域コミュニティ活動への支援)
第25条 市は、地域コミュニティ活動を促進するため、地域コミュニティに対してまちづくりに関する必要な支援を行うものとする。この場合において、市は、地域コミュニティの自主性及び自立性を尊重しなければならない。
2 市は、地域コミュニティにおける協働のまちづくりを推進するため、市長が別に定めるところにより、職員が地域コミュニティ活動に参加する職員地域担当制度を実施するものとする。
第5章 市民活動団体
(市民活動の定義)
第26条 市民活動は、営利を目的としない市民等の自発的かつ自主的な社会貢献活動で、公益の増進に寄与することを目的とする活動をいう。
(市民活動団体の役割)
第27条 市民活動を組織的かつ継続的に行う団体(以下「市民活動団体」という。)は、市民活動の持つ社会的意義を自覚するとともに、自らの持つ知識、専門性等を活かし、まちづくりに貢献するよう努めるものとする。
2 市民活動団体は、積極的に情報提供を行い、活動の輪を広げるとともに、自らの活動内容が市民等に理解されるよう努めるものとする。
3 市民活動団体は、様々なまちづくりの主体として交流及び連携し、協働によるまちづくりの推進に努めるものとする。
(市民活動団体への支援)
第28条 市は、市民活動を促進するため、市民活動団体に対してまちづくりに関する必要な支援を行うものとする。この場合において、市は、市民活動団体の自主性及び自立性を尊重しなければならない。
第6章 条例の見直し
(この条例の見直し)
第29条 市は、この条例の見直しについて4年を超えない期間ごとに検証し、必要に応じて見直すものとする。
附 則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。