○潟上市自治基本条例
平成24年6月12日
条例第11号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 自治の基本原則(第3条―第6条)
第3章 市民(第7条―第9条)
第4章 コミュニティ(第10条・第11条)
第5章 市議会(第12条・第13条)
第6章 市の執行機関等(第14条―第16条)
第7章 市政運営(第17条―第27条)
第8章 住民投票(第28条)
第9章 最高規範性等(第29条・第30条)
附則
前文
わたしたちのまち潟上市は、県央の沿岸部に位置し、八郎湖に向かって広大な田園風景が広がる豊かな自然環境に恵まれています。また、その生涯を農村救済活動に捧げ、聖農として知られる郷土の偉人「石川理紀之助翁」の「寝て居て人をおこすこと勿なかれ」の精神が今も脈々と受け継がれているまちです。
わたしたちは、この豊かな自然環境と、先人の英知と努力によって育まれた歴史と文化を礎として、市民憲章に描く「心を開き共に築こう夢広がるわがふるさと潟上」の実現に向けて、男女共同参画などこれまでの潟上市政の特長を活かし、各地域の特性を重視する政策を推進しながら、子どもからお年寄りまで全ての市民の人権が尊重され、「市民であること」を誇れる潟上市を築いていかなければなりません。
そのためには、地方分権時代の訪れを地域発展の好機と捉え、市民が「まちづくりの担い手」として積極的に市政に参加するとともに、市民と市の機関が、それぞれの役割と責任を適切に分かち合い、お互いに協力してまちづくりを進めて行くことが重要です。
わたしたちは、市民参画と協働のまちづくりを一層推進し、個性豊かで活力に満ち、安全で安心して暮らせる潟上市を創造することを目指して、ここに潟上市における自治の最高規範として、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、潟上市における自治の基本的な原則及び市政運営の基本方針を明らかにするとともに、市民、市議会、市の執行機関の役割等を定めることにより、市民主体のまちづくりの一層の推進を図ることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるとおりとします。
(1) 市民 潟上市の区域内に住所を有する個人及び潟上市の区域内に主たる事務所を置く個人、法人その他の団体をいいます。
(2) コミュニティ お互いに助け合い、心豊かな生活を送ることを目的とし、自主的に結ばれた地域内の組織及び集団をいいます。
(3) 市の機関 市議会及び市の執行機関をいいます。
(4) 市の執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(5) 参画 市民が自発的かつ主体的に市の政策の立案、実施、評価、見直しの各段階に関与することをいいます。
(6) 協働 市民及び市の機関が、それぞれに果たすべき役割と責務を認識し、互いの立場及び特性を対等なものとして尊重しながら協力して共に行動することをいいます。
第2章 自治の基本原則
(市民参画の原則)
第3条 市は、市民参画を基本とした市政運営を行います。
(情報共有の原則)
第4条 市民及び市は、まちづくりに関する情報を共有することを基本とします。
(対等及び協働の原則)
第5条 市民及び市の機関は、それぞれが、対等な立場であるとの認識に基づき、協働してまちづくりを進めるよう努めます。
(財政自治の原則)
第6条 市は、自らの判断と責任において財源を確保し、使途を決定する財政自治に努めます。
第3章 市民
(市民の権利)
第7条 市民は、まちづくりの主体として、市政に参画する権利を有します。
2 市民は、市が保有する情報の公開を請求する権利を有します。
3 市民は、市が提供する行政サービスを受ける権利を有します。
(満20歳未満の市民の権利)
第8条 満20歳未満の市民は、年齢に応じて、まちづくりに参画する権利を有します。
(市民の責務)
第9条 市民は、まちづくりにおいて自らが果たすべき役割を自覚し、市政への積極的な参画に努めます。
2 市民は、市と協働して豊かな地域づくりに努めます。
3 市民は、相互に連携・協力し、自主的にコミュニティ活動に参加するよう努めます。
4 市民は、行政サービスを受けることに伴う負担を分任しなければなりません。
第4章 コミュニティ
(コミュニティ活動)
第10条 自治会等のコミュニティは、市及びその他の組織と協働して、安心して暮らすことができる地域づくりに努めます。
(コミュニティ活動への支援)
第11条 市は、まちづくりを推進する上で自治会等のコミュニティが果たす役割の重要性を認識し、その活動の支援に努めます。
第5章 市議会
(議会の責務)
第12条 議会は、議決機関として市の意思決定を行うとともに、市政運営に関する監視及び政策立案機能の強化に努めます。
(議員の責務)
第13条 議員は、市民の代表者として自らの役割と責務を認識し、誠実に職務を遂行するよう努めます。
第6章 市の執行機関等
(市長の責務)
第14条 市長は、市民の負託にこたえ、誠実かつ公正に職務を遂行するよう努めます。
2 市長は、市の代表者として、市政運営の方針を明らかにするとともに、その実現に向け、総合的かつ計画的な行政運営を行うよう努めます。
3 市長は、行政サービス向上のため、効率的で迅速な行政運営を行うよう努めます。
4 市長は、職員の指揮監督を適切に行い、常に職員の能力を向上させるよう努めます。
(市長以外の市の執行機関の責務)
第15条 市長以外の市の執行機関は、その職務に応じ、他の執行機関と協力して、公平・公正・誠実に職務の遂行にあたるよう努めます。
(職員の責務)
第16条 職員は、市民全体の奉仕者として法令を遵守し、公正かつ誠実に職務を遂行するものとします。
2 職員は、自らもコミュニティの一員として、積極的にまちづくりに参加するよう努めます。
3 職員は、職務遂行に必要な知識、技能等の向上に努めます。
第7章 市政運営
(市の組織)
第17条 市は、簡素で効率的であり、市民に分かりやすい組織の編成に努めます。
2 市は、その組織が社会経済情勢の変化に柔軟に対応できる機能的なものとなるよう、常にその見直しに努めます。
(審議会等)
第18条 市は、各種審議会等の委員を選任する場合は、法令等の規定による場合を除き、公募委員を加えるよう努めるとともに、男女比等を考慮し、幅広い人材の登用に努めます。
2 審議会等の会議及び会議録は原則として公開しなければなりません。
(危機管理)
第19条 市は、不測の事態に迅速かつ的確に対応し、市民の生命、身体及び財産を保護するため、総合的かつ機動的な危機管理体制を整備しなければなりません。
2 市は、市民の危機管理に対する意識を高めるとともに、市民の自主的な防災組織を支援するよう努めます。
(情報公開)
第20条 市の機関は、市民参画を促進するとともに、公正な市政運営を確保するため、保有する情報を原則として公開しなければなりません。
2 市の機関は、保有する情報の提供に関する施策の充実に努めます。
(個人情報保護)
第21条 市の機関は、個人情報の収集、利用、提供、管理等について、個人の権利利益を保護するために必要な措置を講じなければなりません。
(意見・要望等への対応)
第22条 市の機関は、市民から意見、要望、提案、苦情等があったときは、速やかに事実関係を調査し、誠実に対応するものとします。
(男女共同参画)
第23条 市は、男女が互いに人権を尊重し、社会の対等な構成員としてそれぞれに個性と能力を発揮することができるよう、男女共同参画の推進に努めます。
(財政運営)
第24条 市は、財政計画を定め、財源を効果的かつ効率的に活用することにより、健全な財政運営に努めます。
2 市は、保有する財産の適正な管理及び効果的な活用に努めます。
3 市は、財務諸表を作成し、財政及び財産の状況などを市民に分かりやすく公表するとともに、市の経営状況について見解を示すものとします。
(行政評価)
第25条 市は、効果的で効率的な市政運営を推進するため、市の施策等について市民の参画を得て評価を実施しなければなりません。
2 市は、前項の評価の結果を速やかに公表するとともに、施策等の見直しに反映させるものとします。
(外部監査)
第26条 市は、適正で効率的な財政運営の確保のため、必要に応じて外部監査人に監査を行わせることができます。
(国及び県との関係)
第27条 市は、国及び秋田県と対等の関係にあり、自主的に法令の解釈及び運用を行うよう努めます。
第8章 住民投票
(住民投票)
第28条 市は、市政にかかわる重要事項について、次の各号のいずれかに該当する場合は住民投票を実施するものとします。
(1) 選挙権を有する者の総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から住民投票に関する条例の制定の請求があり、当該条例が議決されたとき。
(2) 市議会議員から議員定数の12分の1以上の者の賛成を得て住民投票に関する条例の発議があり、当該条例が議決されたとき。
(3) 市長が自ら住民投票に関する条例を提出し、当該条例が議決されたとき。
2 投票に付すべき事項、投票資格者、投票の方法、その他住民投票の実施に関し必要な事項は、それぞれの事案に応じて、その都度条例で定めるものとします。
3 前項の条例において、投票資格者を定めるにあたっては、選挙権を有する者に、外国人や満20歳未満の者を加えることができるものとします。
4 市の機関は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
第9章 最高規範性等
(最高規範性)
第29条 この条例は、潟上市における自治の推進に関する最高規範であり、市及び市民はこれを遵守しなければなりません。
2 市は、他の条例、規則等の制定、改廃及び運用にあたっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例との整合を図らなければなりません。
(条例の見直し)
第30条 市は、この条例の施行後4年を超えない期間ごとに、社会経済情勢の変化に照らしてこの条例の内容を見直し、その結果に基づいて、必要な措置を講じるものとします。
附 則
この条例は、平成25年1月1日から施行します。