幌延町まちづくり基本条例
平成20年12月19日条例第20号
改正
平成25年3月13日条例第5号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 まちづくりの基本原則(第3条)
第3章 情報の共有(第4条―第7条)
第4章 参加と協働(第8条―第12条)
第5章 町民(第13条―第15条)
第6章 町議会(第16条―第19条)
第7章 町(第20条―第24条)
第8章 町政運営の原則(第25条―第31条)
第9章 まちづくりの基本方針(第32条―第35条)
第10章 最高規範性等(第36条・第37条)
附則
私たちのまち幌延町は、豊かな自然の恵みのもと、先人の英知と努力によって農業を中心とした経済を基盤に、地域社会の発展と豊かな暮らしのために努めてきました。
私たちは、先人が積み重ね築き上げた歴史や文化、守り育ててきた自然などの貴重な財産を未来の世代に引き継いでいく義務があります。
そのためには、自治の主役である町民、町民の信託を受けた町議会及び町との間で、将来にわたって共有すべき考え方や自治を実現していくための仕組みを自ら定めることが必要です。
さらには、町民、町議会及び町は、お互いの情報を共有し合いながらまちづくりに参加協力し、そしてそれぞれの責任と役割を果たす協働のまちづくりによって、個性豊かな魅力あふれる幌延町を創造することを目指します。
私たち町民は、幌延町のまちづくりの理念を明らかにし、安全で安心して暮らせる社会の実現のために、まちづくりの最高規範として、ここに幌延町まちづくり基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本町のまちづくりに関する基本的な事項を定めることにより、町民、町議会及び町がその役割と責務を共有しあい、個性豊かな地域社会を築くことを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1) 町民 町内に住み、又は町内で働き、学び、若しくは活動する人をいいます。
(2) 町 町長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(3) 参加 町民がまちづくりに主体的に参加し、行動することをいいます。
(4) 協働 町民、町議会及び町が、自主性を尊重し対等な立場で相互に補完し、協力することをいいます。
(5) コミュニティ 住んでいる地域を単位とした町内会、目的を掲げて活動しているボランティア団体などの豊かな生活を目指して結ばれた多様な組織をいいます。
(6) パブリックコメント 重要な条例及び計画の策定に当たり、町民の意見を反映させるために事前に案を公表し、町民の意見を聴取するとともに、これに対する町の考え方を公表する制度をいいます。
第2章 まちづくりの基本原則
(基本原則)
第3条 まちづくりの基本原則は、次のとおりとします。
(1) 町民、町議会及び町が、まちづくりに関する情報を共有すること。
(2) 町民一人ひとりが自ら考え行動し、まちづくりに参加する機会が保障されること。
(3) 町民、町議会及び町が、それぞれの役割と責務を認識し、協働してまちづくりを行うこと。
(4) 町議会及び町は、町政に対する町民の信頼を確保するため、説明責任を果たすとともに、公正な町政運営を行うこと。
第3章 情報の共有
(町民の知る権利)
第4条 町民は、町政の主権者として、まちづくりに参加するために必要な町の保有する情報について、その提供を受け、又は自ら取得する権利を有します。
(情報の提供)
第5条 町は、町の保有する情報が町民の共有財産であることを認識するとともに、町政に関する正確で分かりやすい情報を町民が迅速かつ容易に得られるよう、情報の公開を総合的に推進します。
2 町政に関する情報の公開について必要な事項は、別に条例で定めます。
(個人情報の保護)
第6条 町は、保有する個人情報に関して厳重な管理を行い、町民の権利や利益が侵害されることのないよう、町が持つ個人情報を保護します。
2 個人情報の保護について必要な事項は、別に条例で定めます。
(パブリックコメント)
第7条 町は、町民への説明責任を果たすとともに、町政への参加の促進を図り、公正で民主的な開かれた町政の推進のため、パブリックコメントを実施します。
2 パブリックコメントの実施について必要な事項は、別に条例で定めます。
第4章 参加と協働
(町民参加の権利及び保障)
第8条 町民は、まちづくりの主役として町政運営に参加する権利があります。
2 町は、まちづくりの重要な計画の策定、実施及び評価のそれぞれの過程において、町民の参加を保障します。
(町民参加の推進)
第9条 町は、町民のまちづくり参加を推進するため、積極的に参加できる機会の拡充に努めます。
2 町民の参加について必要な事項は、別に条例で定めます。
(協働の推進)
第10条 町民、町議会及び町は、それぞれの役割と責務の下に、協働のまちづくりを推進します。
2 町は、協働のまちづくりを推進するため、自主的及び主体的に取り組むまちづくりの担い手に対して、必要な支援を行います。
(コミュニティ活動の推進)
第11条 町民と町は、自治の担い手としてのコミュニティの役割と責務を認識し、コミュニティを守り育てます。
2 町は、まちづくりの担い手であるコミュニティの自主性と主体性を尊重しながら、必要な支援を行います。
(住民投票)
第12条 町は、町政の重要な事項について、直接町民の意思を確認するため、住民投票を実施することができます。
2 住民投票に参加できる者の資格、投票結果の取り扱いその他住民投票の実施に必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定めます。
第5章 町民
(町民の権利)
第13条 町民は、町政の主権者として、まちづくりに参加する権利を有します。
2 町民は、相互に基本的人権が尊重され、安全で安心な生活を営む権利を有します。
3 町民は、町政情報に関し知る権利を有するとともに、自己に係る個人情報の開示及び適正な措置を請求する権利を有します。
(町民の責務)
第14条 町民は、自主的かつ自律的な意思に基づいて、積極的にまちづくりに参加するよう努めます。
2 町民は、お互いを尊重し、支え合いながら協働してまちづくりを進めるように努めます。
(事業者等の権利及び責務)
第15条 事業者等は、自由に自立した活動を営むとともに、町民及び町と相互に連携及び協力を図り、協働の担い手として、まちづくりに参加する権利を有します。
2 事業者等は、町民とともに地域社会を構成する一員として社会的責任を自覚し、安全で安心なまちづくりの実現に寄与するよう努めます。
第6章 町議会
(議会の役割)
第16条 町議会は、町民を代表する町の意思決定機関として、町政の重要事項について意思決定を行います。
2 町議会は、町民の多様な意思が町政の運営に適切に反映され、公正で民主的な町政が運営されているかを監視及びけん制するとともに、必要な調査を行います。
(議会の責務)
第17条 町議会は、会議の公開を原則とし、開かれた町議会の運営に努めます。
2 町議会は、町民への情報提供等により議会活動に関して町民に分かりやすく説明する責任を負います。
(議員の責務)
第18条 議員は、町民の信託に応えるため、全町的な視点に立って公正かつ誠実に職務を遂行します。
2 議員は、町民の多様な意思を把握し、町政に適切に反映されるよう自己研さんし調査研究活動に努めます。
(議会の組織等)
第19条 議会の組織や議員の定数等については、幌延町の人口の推移と社会情勢及びまちづくりにおける議会の役割を十分に考慮して定めます。
第7章 町
(町長の責務)
第20条 町長は、町政の代表者として、町民の信託に応えるため、この条例の理念に則り、公正かつ誠実に職務を執行し、まちづくりを推進するように努めます。
2 町長は、町民自らがまちづくりについて考え、行動することができるよう、行政情報を積極的に提供し、町民と共有するように努めます。
3 町長は、職員を適切に指揮監督し、効率的な行政運営に努めます。
4 町長は、多様化する町民の行政需要に対応した行政運営を行うため、職員の能力向上に努めます。
(執行機関の責務)
第21条 町の各執行機関は、所掌事務について、自らの判断と責任においてこれを公正かつ誠実に処理するとともに、町長の総合的な調整のもと、執行機関相互の連携及び協力を図りながら、一体として行政機能を発揮するように努めます。
(職員の責務)
第22条 職員は、全体の奉仕者として、法令を遵守し、公正かつ誠実に職務の執行に努めます。
2 職員は、まちづくりに必要な能力の開発と自己啓発に努めます。
3 職員は、自らも町民の一員としての自覚を持ち、積極的に地域活動に参加するように努めます。
(行政組織)
第23条 町の行政組織は、町民に分かりやすく、効率的かつ機能的なものであるとともに、社会経済情勢の変化及び町民のニーズに的確に対応するよう編成します。
(審議会等)
第24条 町は、審議会、審査会、調査会その他の附属機関及びこれに類するもの(以下「審議会等」といいます。)の委員には、公募の委員を加えるように努めます。ただし、公募による委員の選出が適当でないと認められる場合については、これを加えないことができます。
2 審議会等の構成員については、委員の年齢、性別、職種、他の審議会等との重複等を考慮し、幅広い人材を登用するように努めます。
3 審議会等の会議は、原則として公開します。
第8章 町政運営の原則
(町政の運営)
第25条 町は、情報共有、町民参加及び協働のまちづくりを基本とした、効率的で、公正かつ透明性の高い行政運営を行います。
2 町は、事業の実施に当たり、最少の経費で最大の効果を上げるように努め、計画、実施、評価及び改善のマネジメントサイクルを踏まえた自治体経営を推進します。
(説明責任)
第26条 町は、政策の計画、実施、評価及び改善のそれぞれの過程において、その内容や効果等を町民等に分かりやすく説明する責任があります。
2 町は、町民からの意見、要望、提案等に対しては、速やかに事実関係を調査し、誠実に応答します。
(総合計画)
第27条 町は、総合的かつ計画的な町政運営を行うため、町のめざす将来像を定める基本構想、これを実現するための事業を定める基本計画と事業の進め方を明らかにする実施計画により構成される総合計画を策定します。
2 町は、基本構想の策定、変更又は廃止に当たっては、議会の議決を経るものとします。
3 町は、総合計画を最上位の計画と位置付け、町が行う政策は、法令の規定によるものや緊急を要するものを除き、総合計画に基づいて実施します。
4 町は、社会経済情勢の変化に柔軟に対応するため、向こう3ヶ年の実施計画を毎年度見直すとともに、事業の進行を管理し、その状況を公表します。
(法務体制)
第28条 町は、地域の特性を生かした質の高い政策を実行するため、自主的な法令の解釈及び運用をするとともに、自らの判断と責任において必要な条例等の制定に努めます。
2 町は、前項の目的のため、職員の法務に関する能力の向上に努めるとともに、職員の自主的な研修等に対し、必要な支援を行います。
(財政運営)
第29条 町は、総合計画を踏まえた中期的な財政計画を策定するとともに、行政評価と連動した予算編成により、計画的で健全な財政運営に努めます。
2 町は、毎年度の予算及び決算その他町の財政状況に関する情報を町民に分かりやすく公表します。
(行政評価)
第30条 町は、効率的かつ効果的に町政運営を図るため、政策、施策及び事務事業の評価を行い、その結果を町民に公表し、説明責任を果たします。
2 町は、前項の評価の結果を町民に分かりやすく公表するとともに、その結果を政策、施策及び事務事業に反映させるように努めます。
(行政手続)
第31条 町は、町民の権利利益の保護を図るため、行政処分等に関する手続を定め、行政運営の公正と透明性を確保します。
2 前項の手続について必要な事項は、別に条例で定めます。
第9章 まちづくりの基本方針
(安全安心なまちづくり)
第32条 町は、町民の生命、財産及び暮らしの安全確保及び向上に努めるとともに、緊急時には、総合的かつ機動的な危機管理体制の確立に努めます。
2 町は、災害等が発生したときは、町民、事業者等及び関係機関などとの協力、連携及び相互支援のもと、速やかに町民の安全・安心の確保に努めます。
(人と自然との共生のまちづくり)
第33条 町民と町は、豊かな自然と恵みの大地を将来に向って子孫に引き継ぐため、人と自然との共生のまちづくりを進めます。
2 町民と町は、環境にやさしいエネルギーの活用と省エネルギーの推進に努めます。
3 町民と町は、資源循環型社会のまちづくりを進めます。
(子育てと人づくりの推進)
第34条 町及び事業者等は、“子どもは国の宝、社会の宝”実践のため、誰もが安心して子どもを産み、育てることができる環境づくりに努めます。
2 町、学校、地域、事業者等及び家庭は、連携して子どもの安全確保と教育の充実に努めるとともに、次代を担う子どもたちの健やかな成長を支えるため、地域社会全体で子育てを推進します。
3 町は、“まちづくりは人づくり”の観点から、思いやりの心を持ち、自ら学び、考え、行動するたくましい子どもたちを育成するとともに、郷土に誇りを持ち、学びを生かした地域づくりに取り組む人材の育成など、幌延町を支える人づくりを積極的に推進します。
(地域情報化の推進)
第35条 町は、情報通信技術を活用して、豊富な情報と知識による文化的創造的な生活と先進的効率的な社会経済活動の実現に向けて、地域の総合的で高度な情報化を推進します。
第10章 最高規範性等
(最高規範性)
第36条 この条例は、まちづくりの基本的事項について幌延町が定める最高規範であり、町民及び町は、この条例の趣旨を最大限尊重します。
2 町は、他の条例等の制定及び改廃又はまちづくりに関する計画の策定や変更を行うときは、この条例の趣旨を踏まえて整合性を図ります。
(条例の見直し)
第37条 町は、5年を超えない期間ごとに、この条例が幌延町にふさわしいものであり続けているかどうか等を、町民を含めて検討します。
2 町は、前項の規定による検討の結果を踏まえ、この条例の改正等必要な措置を行います。
附 則
この条例は、平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成25年3月13日条例第5号)
この条例は、公布の日から施行する。