湧別町自治基本条例
平成25年9月17日
条例第23号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 情報共有(第6条―第12条)
第3章 町民参加(第13条―第17条)
第4章 町民投票(第18条・第19条)
第5章 町民(第20条―第22条)
第6章 協働・コミュニティ組織(第23条―第27条)
第7章 議会(第28条―第31条)
第8章 行政機関(第32条―第35条)
第9章 行政運営(第36条―第42条)
第10章 交流・連携(第43条―第45条)
第11章 条例の見直し(第46条・第47条)
附則
わたしたちのまち湧別町は、湧別原野に恵みをもたらす清流・湧別川、雄大なオホーツク海と豊かな汽水湖・サロマ湖に育まれる自然の恵み豊かなまちです。
わたしたちのまちは、先人の不屈のチャレンジ精神と未来を信じて結集した英知によって発展してきました。
平成21年10月、それぞれの歴史を刻んできた上湧別町と湧別町は100年の歳月(とき)を経て再びひとつになり、新しい町として歩みだしました。
わたしたちには、先人が守ってきた自然環境、築いてきた歴史や文化を受け継ぎ、「人と自然が輝くまち」をつくり、次の世代へ引き継いでいく責任があります。そのためには、わたしたち町民一人ひとりが自治の担い手であることを自覚し、お互いを尊重し支えあい、安心して暮らすことができるまちを築いていかなければなりません。
わたしたちは、ここに、町民、議会及び行政機関がそれぞれの役割と責務を自覚し、力を合わせて、わたしたちのまちを築くための基本のルールとなる湧別町自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、湧別町の自治の基本理念と基本原則を定め、町民の権利及び役割並びに議会及び行政機関の責務を明らかにするとともに、町民が安心して暮らすことができる地域社会を築くための基本的な仕組みを定めることによって、町民が主体の自治を実現することを目的とします。
(用語の定義)
第2条 この条例で使用する用語の意義は、次のとおりとします。
(1) 町民 町内に住所を有する人、町内で働く人、学ぶ人及び事業活動その他の活動を営む人、又は法人若しくは団体をいいます。
(2) 行政機関 町長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(3) 町政 議会と行政機関が担う自治の領域をいいます。
(4) 協働 町民、議会及び行政機関が、お互いの立場を尊重し知恵と力を合わせ、同じ目的に向かって協力して行動することをいいます。
(基本理念)
第3条 町民、議会及び行政機関は、町民が安心して暮らすことができる地域社会を持続させるため、町民が主体の自治を確立することを基本とします。
(基本原則)
第4条 町民、議会及び行政機関は、次の原則に基づき、町民が主体の自治の実現を図ります。
(1) 情報共有の原則 町民、議会及び行政機関は、町政に関する情報を共有します。
(2) 町民参加の原則 湧別町の自治は、町民参加のもとに行われることを基本とします。
(3) 協働の原則 町民、議会及び行政機関は、それぞれの役割と責任において、協働を推進します。
(条例の位置付け)
第5条 この条例は、湧別町の自治を実現するための最高規範として位置付けます。
2 町民、議会及び行政機関は、この条例を誠実に遵守しなければなりません。
3 議会及び行政機関は、条例、規則等の制定及び改廃に当たっては、この条例に定める事項を最大限に尊重し、整合性を図らなければなりません。
第2章 情報共有
(情報共有)
第6条 町民、議会及び行政機関は、町政の課題の解決にむけて互いの保有する情報を伝え合い、共有します。
(情報提供)
第7条 議会及び行政機関は、開かれた町政を推進するため、保有する町政に関する情報を適切な時期に適切な方法を用いて、分かりやすく町民に提供するものとします。
(説明責任)
第8条 議会及び行政機関は、公正で開かれた町政を推進するため、町政に関して町民に分かりやすく説明するものとします。
2 議会及び行政機関は、町民から寄せられた意見、要望(以下「意見等」といいます。)、及び説明の求めに対して、誠実に対応するものとします。
(情報公開)
第9条 町民は、町政に関する情報を知る権利があり、情報の開示を求めることができます。
2 議会及び行政機関は、町民から町政に関する情報の開示を求められたときは、湧別町情報公開条例(平成21年条例第14号)で定めるところにより、情報を開示しなければなりません。なお、同条例第6条第1項に規定する簡易な情報の場合は、速やかに開示をしなければなりません。
(情報の収集及び管理)
第10条 議会及び行政機関は、町政運営に関する情報を正確かつ適正に収集し、速やかに提供できるよう整理し、保存するものとします。
(個人情報の保護)
第11条 議会及び行政機関は、個人の権利及び利益が侵害されないよう、その保有する個人情報を適切に取り扱い、適正に保護しなければなりません。
2 個人情報の保護に関して必要な事項は、別に条例で定めます。
(会議の公開)
第12条 議会は、本会議及び委員会等の会議を原則公開するものとします。
2 行政機関は、審議会等の附属機関及びこれに類するもの(以下「審議会等」といいます。)の会議を原則公開するものとします。
3 議会及び行政機関は、前2項に規定する会議を公開することが適当でないと認められるときは、非公開とすることができます。
第3章 町民参加
(町民参加の基本)
第13条 町民は、湧別町の自治の主体であることを認識し、町政に参加することを基本とします。
2 議会及び行政機関は、広く町民の意見等を求め、町政に町民の意思を反映することを基本とします。
3 議会及び行政機関は、町民が広く町政に参加する機会を保障するものとします。
4 議会及び行政機関は、町民が町政への参加、又は不参加を理由として不利益を受けないよう配慮するものとします。
5 20歳未満の青少年及び子どもは、次世代の担い手として、それぞれの年齢にふさわしい方法により町政に参加することができます。
(町民参加の対象)
第14条 行政機関は、次の各号に規定する事項を実施するときは、町民の参加を求めるものとします。
(1) 町政運営の基本となる条例の制定及び改廃
(2) 総合計画の基本構想及び基本計画、部門別の計画及び基本方針等の策定、又は見直し
(3) 町民に義務を課し、又は権利を制限することを内容とする条例の制定及び改廃
(4) 広く町民が利用する公共施設の整備に係る基本的な計画の策定、又は見直し
(5) 広く町民が利用する公共施設の利用方法の決定
(6) 事務及び事業を効果的かつ効率的に推進するための行政評価
(7) 町民の生活に大きな影響を及ぼす施策の決定
(8) 前各号のほか、町民参加が有効と思われる事項
2 行政機関は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、町民参加を求めないことができます。
(1) 緊急を要するもの
(2) 行政内部の事務処理に関するもの
(3) 町税の賦課徴収及びその他金銭の徴収に関するもの
(4) 法律及びそれに基づく政令の規定によるもの
3 行政機関は、前項の規定により町民参加を求めなかった場合において、行政機関が必要と判断したとき、又は町民からその理由を求められたときは、その理由を公表しなければなりません。
(町民参加の方法)
第15条 行政機関は、前条第1項に規定する事項を実施するときは、次の各号のいずれかの方法により、適切な時期に町民参加を求めるものとします。
(1) 審議会等の開催
(2) 意見交換会や懇談会の開催
(3) アンケート調査の実施
(4) パブリックコメント(町民意見募集)の実施
(5) その他適切な方法
2 行政機関は、前項に規定する方法を複数組み合わせるとともに、町民が参加しやすい環境を整え、町民参加の機会を拡充するものとします。
3 第1項の各号に規定する方法に関して必要な事項は、別に定めます。
(町民の意見等の取扱い)
第16条 行政機関は、町民参加によって寄せられた意見等を総合的に検討するものとします。
2 行政機関は、意見等の検討を終えたときは、速やかに次の事項を公表するものとします。ただし、別に定める条例により公表することが適当でないと認められるときは、この限りではありません。
(1) 意見等の内容
(2) 意見等の検討結果及びその理由
(審議会等の委員の選任)
第17条 行政機関は、行政運営に公平で、かつ、広く町民の意見等が反映されるよう審議会等の委員の選任について、次の事項に配慮するものとします。
(1) 原則、町民から公募により選任された委員が含まれること。
(2) 幅広く人材を確保するため、委員の就任期間又は他の審議会等との重複を必要最小限とすること。
第4章 町民投票
(町民投票)
第18条 町長は、町政に関する重要な事項について、直接町民の意思を確認するため、議会の議決を経て、町民投票を実施することができます。
2 町民、議会及び町長は、町民投票の結果を尊重します。
3 町民投票に関して必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定めます。
(町民投票の請求及び発議)
第19条 議員及び町長の選挙権を有する町民は、地方自治法(昭和22年法律第67号)の定めるところにより、その総数の50分の1の連署をもって、町長に町民投票条例の制定を請求することができます。
2 議員は、地方自治法の定めるところにより、議員定数の12分の1以上の賛成をもって、町民投票条例の制定を議会に発議することができます。
3 町長は、地方自治法の定めるところにより、町民投票条例の制定を議会に提案することができます。
第5章 町民
(町民の権利)
第20条 町民は、町政に関する情報について知る権利を有します。
2 町民は、町政に参加する権利を有します。
(町民の役割と責務)
第21条 町民は、湧別町の自治の主体であることを自覚し、自分のできる範囲で町政及び地域活動に積極的に参加するよう努めます。
2 町民は、町政及び地域活動に参加するに当たっては、自らの発言や行動に責任を持つとともに、お互いを尊重し、協力し合うよう努めます。
(事業者の役割)
第22条 事業者は、地域社会を構成する一員としての社会的役割を認識し、安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与するよう努めます。
第6章 協働・コミュニティ組織
(協働の推進)
第23条 町民、議会及び行政機関は、湧別町の課題を解決するため、相互理解と信頼関係のもとに協働を推進します。
2 行政機関は、町民との協働による湧別町の自治を推進するに当たり、町民の自主性及び自立性を損なわないように配慮するとともに、必要な支援を行うものとします。
(コミュニティ組織の定義)
第24条 コミュニティ組織とは、町民が互いに助け合い、心豊かな生活を送ることを目的として、自主的に組織された団体をいいます。
(コミュニティ組織の役割)
第25条 コミュニティ組織は、地域社会において自らできることを考え行動し、地域の課題の解決に取り組むよう努めます。
2 コミュニティ組織は、多くの町民が参加しやすい環境づくりに努めます。
3 コミュニティ組織は、積極的に相互の連携を図るとともに、議会及び行政機関と協働し、活動の充実に努めます。
(コミュニティ組織にかかわる町民の役割)
第26条 町民は、コミュニティ組織の役割を認識するとともに、その活動に積極的に参加し、守り、育てるよう努めます。
(コミュニティ組織にかかわる行政機関の役割)
第27条 行政機関は、コミュニティ組織の自主性と自立性を尊重するとともに、その活動を促進するため、必要な支援を行うものとします。
第7章 議会
(議会の役割)
第28条 議会は、選挙で選ばれた町民の代表者である議員により構成された議事機関として、行政運営を監視するとともに、町政の重要事項を議決し、意思を決定します。
(議会の責務)
第29条 議会は、この条例の基本理念、基本原則及び制度を遵守し、町の将来展望を持って課題を的確に把握し、活動しなければなりません。
2 議会は、町民の意見を聴取して、議会運営に反映させなければなりません。
(議員の責務)
第30条 議員は、この条例の基本理念、基本原則及び制度を遵守し、町民の信託に対する自らの責任を果たさなければなりません。
2 議員は、町民意思の的確な把握及び自己研鑽を図るとともに、公益のために行動しなければなりません。
(町民との情報共有と町民参加)
第31条 議会は、多様な媒体を活用して本会議及び委員会等の審議経過や審議結果に関する情報を町民に分かりやすく公表するものとします。
2 議会は、町民が本会議及び委員会等を傍聴しやすい環境を整えるものとします。
3 議会は、広く町政の課題を明らかにするため、本会議及び委員会等における論点を明確にするものとします。
4 議会は、町民との意見交換の機会を年1回以上開催し、町民と対話する機会を設けるものとします。
第8章 行政機関
(行政機関の責務)
第32条 行政機関は、条例、予算その他の議会の議決及び法令等に基づく事務及び事業を適正に管理し執行しなければなりません。
2 行政機関は、情報共有と町民参加を進め、広く町民の意思を反映して、事務及び事業を執行しなければなりません。
3 行政機関は、事務及び事業を効果的かつ効率的に執行しなければなりません。
(町長の責務)
第33条 町長は、行政の最高責任者として、この条例の基本原則及び制度を遵守し、基本理念を実現するために町民の信託に応え、公正かつ誠実に行政運営を行わなければなりません。
2 町長は、長期的な展望に立って、健全な自治体運営を推進しなければなりません。
3 町長は、職員を適切に指揮監督し、効率的な組織体制を整備しなければなりません。
4 町長は、町民の意向や政策課題に的確に対応できる能力を持った職員を育成するとともに、その能力を公正に評価し、士気高揚を図らなければなりません。
(町長の就任時の宣誓)
第34条 町長は、就任に当たっては、この条例の基本理念を実現するため、公正かつ誠実に職務を執行することを宣誓しなければなりません。
(行政機関の職員の責務)
第35条 行政機関の職員(以下「職員」といいます。)は、町民が主権者であることを認識し、公正かつ適正に職務を遂行しなければなりません。
2 職員は、町民の視点に立ち、自らも地域の一員であることを認識し、職務を遂行しなければなりません。
3 職員は、町民の意向や政策課題に的確に対応できる能力の向上を図らなければなりません。
4 職員は、お互いに横断的な連携を密にし、一体となって職務を遂行しなければなりません。
第9章 行政運営
(総合計画)
第36条 行政機関は、湧別町の目指す将来の姿を明らかにし、総合的かつ計画的な行政運営を行うため、総合計画を策定するものとします。
2 行政機関は、総合計画を最上位の計画と位置付け、行政機関が行う政策は法令の規定によるもの及び緊急的な課題を除き、総合計画に基づいて実施するものとします。
3 行政機関は、総合計画の実施計画を毎年度見直すとともに、事務及び事業の進行を管理し、その状況を公表します。
4 行政機関は、部門別の計画の策定及び実施に当たっては、総合計画との整合性を図るものとします。
(財政運営)
第37条 行政機関は、総合計画及び行政評価を踏まえ、中長期的な財政計画を策定し、計画的かつ健全な財政運営を行うものとします。
2 行政機関は、毎年度の予算、決算及び財政の状況を明らかにするため、分かりやすい資料を作成し公表しなければなりません。
3 財政状況の公表に関して必要な事項は、別に条例で定めます。
(行政評価)
第38条 行政機関は、事務及び事業の目的及び成果等を点検するため、適切な評価基準に基づく行政評価を実施するものとします。
2 行政機関は、行政評価の結果を予算、事務及び事業へ反映させるとともに、分かりやすい資料を作成し公表します。
(行政改革)
第39条 行政機関は、簡素で効率的な行政運営を行うため、行政改革大綱を策定し、行政改革を推進するものとします。
2 行政機関は、行政改革大綱に基づき実施計画を策定し、その進行を管理するとともに、分かりやすい資料を作成し公表します。
(行政手続)
第40条 行政機関は、町民の権利利益の保護を図るため、処分、行政指導及び届出に関する手続を明らかにし、行政運営における公正の確保及び透明性の向上を図らなければなりません。
2 行政手続に関して必要な事項は、別に条例で定めます。
(政策法務)
第41条 行政機関は、地域の課題を解決するために必要な政策を実現するため、必要に応じて条例等の制定、又は改廃を行うとともに、法令等を自主的かつ適正に解釈し運用するものとします。
(危機管理)
第42条 行政機関は、災害等の緊急時に対処するための必要な計画を策定するとともに、その計画に基づき危機管理体制を整備し、町民の生命、財産及び暮らしの安全を守るために必要な対策を講ずるものとします。
2 町民は、災害等の緊急時において互いに助け合い行動できるよう、防災等に対する意識の高揚を図り、行政機関及び関係機関等と一丸となった協力体制の整備に努めるものとします。
第10章 交流・連携
(国内外の交流)
第43条 町民、議会及び行政機関は、国内外の様々な人々や団体との交流を深め、その活動から得られる知識や情報を課題の解決に生かすよう取り組むものとします。
(他の市町村との連携)
第44条 議会及び行政機関は、広域的な課題又は共通する課題を解決するため、他の市町村と相互に連携するものとします。
(国及び北海道との連携)
第45条 議会及び行政機関は、課題の解決を図るため、国及び北海道との役割分担に基づき、相互に連携するものとします。
第11章 条例の見直し
(条例の見直し)
第46条 町長は、この条例の施行の日から4年を超えない期間ごとに、この条例を点検し見直しを行うものとします。
2 町長は、この条例の見直しを行うときは、湧別町自治推進委員会に諮問しなければなりません。
3 町長は、前2項に規定する見直しの結果を踏まえ、この条例及びその他の制度を見直すことが適当であると判断したときは、必要な措置を講ずるものとします。
(自治推進委員会の設置)
第47条 この条例をみんなで守り育て、実効性を高めるため、町長の附属機関として湧別町自治推進委員会(以下「推進委員会」といいます。)を設置します。
2 推進委員会は、自主的に次の事項を審議し、議会及び行政機関並びに関係団体に意見を述べることができます。
(1) この条例に基づく町民参加の状況及び条例の運用状況に関する事項
(2) この条例の見直しに関する事項
(3) この条例の推進に関する事項
(4) 町長の諮問に関する事項
3 推進委員会の組織及び運営に関して必要な事項は、別に条例で定めます。
附 則
この条例は、平成26年4月1日から施行する。