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農が息づく望月と川上村を訪ねました。

農が息づく望月と川上村を訪ねました。

環境と公害編集委員会」の調査で,宮本憲一先生(元滋賀大学長)と吉川徹さん(多津衛民芸館・元望月町長)のご協力・コーディネートにより,長野県の佐久市旧望月町と川上村を訪れました。

旧望月町では,四半世紀にわたり宮本先生のもと,地域のさまざまな人々が集って宮本塾が開かれ,内発的発展をコンセプトに,地域の資源を活かし,農を中心にした地域づくりが行われてきました。

そのような活動の中で,とことん土にこだわった米づくりの職人・伊藤盛久さんと地元の米で酒造りをしたいと考えていた当時の大澤酒造社長・大澤進さんが出会って生まれたのが「信州のかたりべ」(写真1)。


1. ふくよかな香りの「信州のかたりべ」

大澤酒造(写真2)は,中山道の茂田井間の宿(もたいあいのしゅく)(写真3)で,元禄時代から続く老舗。4月7日の新酒発表会では,ときおり雪のちらつく中,お酒はもちろん,豚汁や餅も振る舞われ(写真4),地元の蜂蜜を使ったハニーどら焼き,みそや野菜のフリーマーケット,矢代一重山太鼓の演奏も行われ(写真5),多くの人で賑わいました。


2. 元禄時代から続く老舗の大澤酒造


3. 昔ながらの面影が残る茂田井間の宿

4. もちつき風景

5. 迫力ある矢代一重山太鼓

午後は,有機野菜の宅配で有名なくさぶえ農園を見学した後(写真6),有機農業者,銅器鍛造職人,議員等,御代田や軽井沢からも多彩な人々が集まり,4つの分科会に分かれて研究交流会。夜は,懇親会の後,美人の湯・春日温泉にゆったりつかりました(2つの源泉をもつ「かすが荘」)。


6. くさぶえ農園のしろちゃん

4月8日は快晴。お気に入りの浅間山(写真7)や春の野焼き(写真8)を眺めながら,一路,千曲川・信濃川の源流・川上村へ(写真9)。


7. 雄大な浅間山

8. 野焼きに煙る山間の村々

9. 思わず感嘆の声があがる八ヶ岳の風景

川上村は,信州の東端部に位置する人口5千人弱の村ですが,合併することなく,高原野菜(とくにレタス)王国として農家1戸あたり平均年収2500万円の豊かな村。そのキーパーソンは,現在7期目の藤原忠彦・川上村長(写真10)。


10. 自ら案内して下さった藤原村長

藤原村長は,赤字民営バスの代わりに,スクールバスと路線バスを組み合わせた村営バスを走らせ黒字化,全家庭にケーブルテレビを導入し,農家のための気象情報・市況情報を村営番組として提供,都会から来たお嫁さんもクールと思えるような24時間図書館や音楽ホールを設置(写真11,写真12),カリフォルニア大学デービス校と新種のレタスを開発し,なんと村が商標登録,地元のカラ松材で中学校を改修(写真13:,写真14)等々,数々のユニークなアイディアを卓越した実行力で次々に実現。絶滅しかけた日本犬の純血種・川上犬(写真15)の保護にも取り組んでこられました。


11. 24時間ICカードで村民が利用可能

12. こたつコーナーもあるのは,厳寒地ならでは

13. 八ヶ岳を借景にした給食室

14. 中学校舎とは思えない
吹き抜けのホール

15. 川上犬は,現在300頭

 

川上村の次に訪れたのが,佐久総合病院小海分院(写真16)。長野県は,男女ともに年齢調整死亡率が全国最低で(2010年度),老人医療費が飛び抜けて低いことや在宅死亡率が高いことでも知られています。この「長野モデル」に大きく貢献したと言われるのが,農村地域医療の原点・佐久病院です。南佐久南部の5か町村には,この分院と佐久病院が医師を派遣している診療所のほか,開業医は2軒しかないとのこと。現地に来てみるまで,思いも寄らなかった現実です。


16. 千曲川沿いの分院

夕食は,再び望月に戻って職人館で。職人館は,もともと職人の研究をしていた北村正和さんが,役場を辞めて1992年に開いた農家レストランの先駆け。建物はおじいさんの家を改築し(写真17,写真18),家具も器もこだわりのものばかり。地元の有機農家の畑でとれた野菜や自ら山で摘んだ山菜の味を活かして調理される料理の数々が並びます(写真19,写真20)。この北村さんも,宮本塾の中心メンバー。四半世紀かけて築かれてきた人々のつながりを感じさせる北村さんの笑顔が印象的でした。夜は,再度春日温泉の源泉掛け流しのお湯を満喫(もちづき荘)。


17. 概観

18. 宮本塾も開かれる2階のホール

19. 盛りだくさんの前菜

20. インパクトのある日本酒ラベル

 

翌日は,まず,旧臼田町にある佐久総合病院本院へ。長野で最初のドクターヘリ(写真21)を擁する総合病院ですが,なんと言っても印象的だったのは,地域包括ケアです。本人が望むなら,住み慣れた家で人生を全うできるよう,介護をする家族のケアも含めたきめ細やかな在宅医療が提供されているだけでなく,亡くなられた後も,エンゼルメイク,遺族訪問,遺族会開催まで,遺族のグリーフケアが行われているとのこと。病院内では,各種文化活動も盛んで,日本を代表するジャズクラリネット奏者・北村英治さんと病院のGDK吹奏楽団との演奏会も実施されたとか・・。医療とは,「その人らしい暮らしを最期まで支えることだ」,という使命感あふれるお話には,心を動かされました。


21. 平均毎日1度は出動

 

この調査の締めくくりは,柳田清二・佐久市長(写真22)のヒアリングです。徹底した情報公開を掲げた柳田市長が就任してまず行ったのは,その時点で基本計画までできていた「総合文化会館の慎重な検討」。本当に必要な施設なのかを住民自身が判断すべきとの立場から,21回の住民説明会を実施し,翌日には必ずその議事録をHPにアップし,161の質問に答えたとのこと。計画がかなり進んだ段階での見直しだったことから,最終的には住民投票も実施。71%(投票率54%)が反対を表明したとのこと。グリーンアクセスを考える上でも貴重な事例です。再生可能エネルギーにも積極的。今年4月に市自らが平根水力発電所を買い取ったほか,2つの財産区にメガソーラープロジェクトを検討中とか。エネルギーの地産地消も実践しています。


22. 熱く語る柳田市長

このような盛りだくさんのヒアリングを終え,今日も快晴の浅間山の風景をあとにしました。

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