条例

合志市自治基本条例

自治体データ

自治体名 合志市 自治体コード 43216
都道府県名 熊本県 都道府県コード 00043
人口(2015年国勢調査) 61,772人

条例データ

条例本文

合志市自治基本条例

平成22年3月4日条例第1号
合志市自治基本条例

目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 市民の責務及び権利(第5条―第7条)
第3章 市議会の役割及び責務(第8条―第10条)
第4章 市の執行機関の責務(第11条―第13条)
第5章 市政の運営(第14条―第24条)
第6章 参画及び協働によるまちづくり(第25条―第32条)
第7章 国及び他の地方公共団体等との連携(第33条)
附則

わたしたちのまち「合志市(こうしし)」は、古(いにしえ)の歴史を受け継ぎ、その名は古代から続いた「合志郡」に由来しています。
阿蘇の山なみを東に望み、緑豊かな自然と穏やかな生活環境の中で、人々が結び合い、支えあいながら、歩み続けてきました。
今、まちを取り巻く状況は、刻々と変化し、地方自治体には自主と自立が、市民一人ひとりには自治の主権者であることの自覚と行動が求められています。
わたしたちは、「合志市」の誕生とともに、「志(こころざし)」を「合(あ)」わせて協働によるまちづくりを進めることを決意し、市民憲章を制定しました。
自治は、市民一人ひとりのくらしを守る基本であり、幸せが実感できる地域づくりを確かなものにしていくための営みであり、将来にわたり、子どもたちが健やかに育まれ、すべての人権が尊重され、安全に安心して暮らしていくためのまちづくりそのものです。
ここに、市民が身近なところからまちづくりに参画することを基本に、市民、市議会、市の執行機関が相互に情報を共有するとともに、自治の主体としての権利と責務を改めて認識し、合志市の自治のあり方を定める最高規範として、この条例を制定します。

 第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市の自治の基本的な理念を定め、自治の主体者としての市民、市議会及び市の執行機関の役割を明らかにし、地方自治の本旨に基づき、市民主役のまちづくりを進めることを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条 市民の参画と協働によりつくられたこの条例は、本市の自治についての最高規範であり、他の条例、規則等は、この条例の趣旨を最大限に尊重するものとします。
2 市議会及び市の執行機関は、他の条例、規則等の制定、改廃及び各種行政計画等の策定及び見直しに当たっては、この条例に定める事項との整合を図り、体系的に整備するよう努めます。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるとおりとします。
(1) 市民 次のいずれかに該当するものをいいます。
ア 本市に居住する者
イ 本市に通勤し、又は通学する者
ウ 本市で事業を営み、又は活動する者及び法人又は団体
(2) 市の執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(3) まちづくり 自らが生活し活動している地域をはじめ、わたしたちが暮らすまちが抱えている課題に対して、様々な視点で解決を図るとともに、将来にわたって、住みよいまちにしていくための活動をいいます。
(4) 参画 本市が抱えるまちづくりに関する案件について、立案から実施及び評価、改善までの各段階における意思決定に、市民が自らの意思で主体的にかかわることをいいます。
(5) 協働 市民、市議会及び市の執行機関が、それぞれ対等な立場で、お互いの果たすべき役割を認識し合い、地域社会の発展につなげるため、共に補完し、協力し合って取り組むことをいいます。
(自治の基本理念)
第4条 本市の自治の基本理念を、次のとおり定めます。
(1) 市民主権 市民一人ひとりがその主体者であることを自覚し、積極的な参画を基本とします。
(2) 人権の尊重 性別、年齢、出身、地位、障がいの有無等によって差別されることなく、一人ひとりの人権を尊重します。
(3) 情報の共有 市民、市議会及び市の執行機関は、相互に情報を共有していきます。
(4) より良い環境への配慮 恵まれた豊かな自然環境と良好な生活環境を守り、次の世代に継承していくため、地域をはじめ地球全体の環境に配慮します。
(5) 子育てを視点とした参画と協働 子どもたちを安心して育てていける環境を築いていくことを市民共通の課題と捉え、子育ての視点を持ち、参画と協働によるまちづくりに努めます。
(6) 自立した自治体経営 本市が基礎自治体として将来にわたって信頼されるため、自立した行財政の確立と、自主的かつ自律した経営を進めます。

 第2章 市民の責務及び権利
(市民の責務)
第5条 市民は、自治の主体者であることを自覚し、参画及び協働に当たっては、自らの発言及び行動に責任を持ちます。
2 市民は、身近なまちづくりへの取組が、安全で安心して暮らせるまちの実現につながるものであることを認識して、行動するよう努めます。
3 市民は、自治に関心を持ち、自ら情報を得て、市の目指す方向性及び理念を理解し、積極的な参画に努めます。
4 本市で事業を営み、又は活動しようとする市民は、市民生活、自然環境及び生活環境への影響に配慮し、地域社会との調和に努めます。
(市民の権利)
第6条 市民は、まちづくりに取り組む自治の主体者として、参画及び協働の権利を有します。
2 市民は、参画のために必要な情報について知る権利を有し、市議会及び市の執行機関に対し、情報の公開を求める権利を有します。
3 市民は、まちづくりに関して、自らの意見を表明し、又は提案する権利を有します。
(子ども及び青少年の権利)
第7条 子ども及び青少年は、個人として尊重され、参画及び協働の権利を有します。

 第3章 市議会の役割及び責務
(市議会の役割)
第8条 市議会は、市民の多様な意見を集約し、その意思をまちづくりに適正に反映させるための本市の最高議決機関として、必要な条例の制定や改正等を行い、基本的な事項を議決し、本市の意思を決定するとともに、市の執行機関が行う業務を監視する役割を有します。
(市議会の責務)
第9条 市議会は、前条の役割を果たすとともに、情報を速やかに公開し、分かりやすく市民に説明することで、開かれた議会運営に努めます。
(市議会議員の責務)
第10条 市議会議員は、市民の代表として、市民の信託にこたえてこの条例を遵守するとともに、常にまちの課題及び問題点並びにその解決策等の調査及び研究に努め、将来にわたる市民全体の利益のために活動します。
2 市議会議員は、市民の意見を集約するよう努めるとともに、将来にわたる市民全体の利益につながる政策の立案能力の向上に努めます。
3 市議会議員は、自らの議会活動とまちづくりに関する考えを明らかにし、市民へ分かりやすく説明します。

 第4章 市の執行機関の責務
(市の執行機関の責務)
第11条 市の執行機関は、すべての業務について、市民の信頼を得られるよう、誠実かつ迅速に対処します。
2 市の執行機関は、市民の意見を適確に把握し、最少の経費で最大の効果を発揮できるよう、将来を見据え、安定した財政運営を行います。
3 市の執行機関は、市民の権利と責務が実現できるよう、参画の機会を拡充するとともに、市民から出される意見及び提案に対して総合的に検討し、その結果について説明責任を果たします。
4 市の執行機関は、本市の目指すべき方向性及びまちづくりの理念を定めて、分かりやすい方法で広く市民に示します。
(市長の責務)
第12条 市長は、市民の信託にこたえ、この条例を遵守し、市職員を指揮監督することにより、誠実かつ迅速に市政運営を行います。
(市職員の責務)
第13条 市職員は、市民全体の奉仕者であることを常に意識して、この条例を遵守し、協働によるまちづくりを積極的に進めるため、誠実かつ迅速に職務を遂行します。
2 市職員は、自らの責務を遂行するため、必要な基礎的能力を修得し、積極的にまちづくりの課題解決及び立案する能力の向上に努めます。

 第5章 市政の運営
(市政運営の基本原則)
第14条 市議会及び市の執行機関は、自治の基本理念にのっとり、国及び他の地方公共団体と対等な立場に立ち、自らの判断と結果に責任を持って、市政の運営を行います。
(総合計画)
第15条 市の執行機関は、自治の基本理念及び市政運営の基本原則にのっとり、市議会の議決を経て、まちづくりの指針となる基本構想を定めるとともに、その実現のための基本計画をまとめ、総合計画を策定します。
2 市の執行機関は、総合計画の策定に当たり、参画ができる場を設け、市民の意見を反映します。
3 市の執行機関は、法令等に基づく個別計画の策定及び実施に当たっては、総合計画との整合を確保します。
(組織づくり)
第16条 市の執行機関は、総合計画を実現するため、法令、条例、規則及び予算に基づき、各種の事務及び事業を適正かつ適確に執行するための組織体制を整備します。
2 市の執行機関は、市政の課題に適確にこたえることができる知識と能力を持った職員を育成し、効率的な組織運営を行います。
(総合的な行政サービス)
第17条 市の執行機関は、自治の基本理念に基づき、組織の横断的な連携を図り、市民のニーズに適確に対応した総合的な行政サービスを行います。
(情報共有及び説明責任)
第18条 市の執行機関は、参画及び協働のまちづくりを推進するため、市政に関する情報を、積極的に、市民に分かりやすく公開し、情報を共有します。
2 市の執行機関は、事業の企画立案、決定、実施及び評価に当たっては、必要に応じその必要性及び妥当性を分かりやすく市民に説明します。
(個人情報保護)
第19条 市の執行機関は、市民の基本的人権を擁護し、信頼される市政を実現するため、個人情報を適正に管理し、その利用、提供等に関し適切な保護措置を講じます。
(市民の要望の取扱い)
第20条 市の執行機関は、市民の意見及び要望に対し、その経過、結果等を記録し、必要に応じて公開することで、透明性の高い市政運営を行います。
(行政手続)
第21条 市の執行機関は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、市民の権利と利益を保護するため、行政手続に関して必要な事項を別に条例で定め、適切に運用します。
(公益通報)
第22条 市の執行機関は、適正な市政運営を確保し、公正な社会を実現するという公益のため、市政に係る違法と思われる行為などに対し、市の職員等から行われる通報を受ける体制を整備し、当該公益に係る通報を行った者が、通報したことを理由として不利益な取扱いを受けることのないよう適切に保護します。
(行政評価)
第23条 本市の行政評価は、総合計画の進行管理を行うための仕組みであり、計画に掲げる目標の達成状況及び成果を検証し、及び評価し、その結果を次のより良い企画、計画立案及び改善に結び付けることを基本とします。
2 市の執行機関は、参画及び協働を進める共通の仕組みとして行政評価を活用します。
(財政運営及び公表)
第24条 市の執行機関は、将来にわたって健全な財政運営を持続するため、総合計画及び行政評価と連動した財政の仕組みを確立し、本市の財政運営に関する情報について、市民に分かりやすく公表します。

 第6章 参画及び協働によるまちづくり
(参画及び協働の原則)
第25条 市民、市議会及び市の執行機関は、自治の基本理念にのっとり、お互いの知恵と力を出し合い、参画及び協働によるまちづくりに取り組みます。
(参画機会の充実)
第26条 市の執行機関は、協働によるまちづくりを進めるため、市民が自らの意思で主体的にかかわることのできる機会の充実を図ります。
(審議会等への参画)
第27条 市長は、審議会等の委員を選任する場合は、公平に幅広い人材が登用されるよう、構成員の全部又は一部の公募による選任及び男女の構成にも配慮します。
(住民投票)
第28条 市長は、市政に係る重要事項について、広く市民の総意を確認するため、その事案ごとに条例を定め、住民投票を実施することができます。
2 市議会及び市長は、住民投票の結果を尊重します。
(住民投票の請求及び発議)
第29条 住民のうち選挙権を有する者は、法令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、住民投票を規定した条例の制定を市長に請求することができます。
2 市議会議員は、法令の定めるところにより、議員定数の12分の1以上の賛成を得て、住民投票を規定した条例を市議会に提出することで住民投票を発議することができます。
3 市長は、法令の定めるところにより、必要に応じ、住民投票を規定した条例を市議会に提出することで、住民投票を発議することができます。
(コミュニティ活動)
第30条 コミュニティとは、市民一人ひとりが、自ら豊かな暮らしをつくることを前提に、様々な生活形態を基礎にして形成する多様なつながり、組織及び集団をいいます。
2 各コミュニティは、それぞれの自発的で自律的な活動を通して情報の共有を図り、連携し尊重し合いながら、地域社会を多様に支え合うことを目的とします。
3 市の執行機関は、地域の課題を解決し公的な利益や社会貢献につながるコミュニティ活動に対し、必要な支援を行います。
(合志市自治基本条例推進委員会の設置等)
第31条 市長は、附属機関として、合志市自治基本条例推進委員会(以下「委員会」という。)を設置します。
2 委員会は、この条例の運用状況を確認し、参画及び協働によるまちづくりに関する基本的事項について調査し、及び審議し、市長に意見を述べることができます。
3 委員会は、市民及び自治に関し識見を有する者によって構成します。
4 前3項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定めます。
(条例の見直し)
第32条 市長は、この条例について、委員会の意見を尊重し、必要に応じて見直すことができます。
第7章 国及び他の地方公共団体等との連携
第33条 本市は、国及び他の地方公共団体等と対等な立場で相互に連携し、広域的な課題や共通する問題の解決を図ります。
附 則
この条例は、平成22年4月1日から施行します。