条例

滝沢市自治基本条例

自治体データ

自治体名 滝沢市 自治体コード 03216
都道府県名 岩手県 都道府県コード 00003
人口(2015年国勢調査) 55,579人

条例データ

条例本文

○滝沢市自治基本条例
平成26年1月15日条例第1号
滝沢市自治基本条例

 目次
前文
第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 理念及び原則(第4条-第6条)
第3章 協働による地域づくり(第7条・第8条)
第4章 地域づくりの推進(第9条-第12条)
第5章 地域コミュニティの運営(第13条-第15条)
第6章 行政運営の原則(第16条-第21条)
第7章 議会運営の原則(第22条-第24条)
第8章 危機管理体制及び地域づくりにおける連携(第25条・第26条)
第9章 権利及び責務(第27条-第30条)
第10章 公正及び信頼の確保(第31条-第33条)
第11章 条例の実効性の確保等(第34条-第36条)
附則

 滝沢市は秀峰岩手山の裾野に位置し、東には北上川、南には雫石川が流れる自然豊かな地域です。また、県都盛岡市に隣接し、複数の大学が存在しており、国や県の試験研究機関が集まっている一帯では、研究学園地域としての姿が見られます。
また、豊かな自然と先人たちが培ってきた産業、そして「日本一人口の多い村」としての村政124年の歴史と、チャグチャグ馬コに代表される様々な文化があります。
私たちには、このことに誇りを持ち、それらを財産とし、未来を担う子どもたちが「このまちが大好き」「ここに住んでよかった」と思える故郷を築き、次の世代に引き継いでいくことが求められています。
そのため、思いやりのある社会、そしてみんなが幸せに暮らせる地域を創造し、「住民自治日本一」をめざして市民主体の地域づくりを進めるとともに、夢のある地方自治を、市民・行政・議会の協働により推進していかなければなりません。
これらを実現するため、私たちは日本国憲法に掲げる地方自治の本旨に基づき、自治の理念と普遍の原則を定めた、滝沢市自治基本条例を制定します。

 第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、誰もが幸福を実感できる活力に満ちた地域を実現するため、滝沢市の自治に関する基本原則を明らかにするとともに、地域づくりの推進に関する原則、制度等を定め、住民自治の深化を図ることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによります。
(1) 市民 次のいずれかに該当する者をいいます。
ア 本市に住所を有する者
イ 本市に居住し、通勤し、又は通学する者
ウ 本市で公益性を有する活動を行う者
(2) 市 市長その他の執行機関をいいます。
(3) 市政 行政及び議会の運営をいいます。
(4) 協働 市民、市及び議会がそれぞれの役割及び責任を持ち、対等な立場で協力して行動することをいいます。
(5) 地域づくり 地域が抱えている課題を解決し、暮らしやすい地域を実現するための取組をいいます。
(6) 参加 市民が、市政又は地域づくりに関わり、意見を表明し、及び行動することをいいます。
(7) 地域コミュニティ 自治会及び公益性を有する活動を行うもの並びにこれらを含む総体をいいます。
(条例の位置付け)
第3条 この条例は、滝沢市の自治に関する最高規範であり、個別の条例及び規則の制定等又は総合計画等各種計画の策定に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければなりません。
2 市及び議会は、この条例に定める事項を実現するため、条例等の制定その他必要な措置を講ずるものとします。
3 市民、市及び議会は、この条例に定める事項を相互に関連付けることにより、より効果的に活用し、住民自治の深化を図るものとします。

 第2章 理念及び原則
(市民憲章)
第4条 市民一人一人の想いを象徴するものとして、次の憲章を定めます。
滝沢市民憲章
岩手山のふもと、鈴の音響くふるさと滝沢で、わたしたちは
一人一人が大きな夢をいだきます。
地域の絆と支えあいを築きます。
楽しみ、よろこび、生きがいを見つけます。
健康で心豊かな生活をめざします。
未来に輝く子どもたちを育てます。
(めざす地域の姿)
第5条 市民、市及び議会は、次に掲げる地域の実現に努めます。
(1) 岩手山を背景とした景観を守り、恵まれた自然と調和した地域
(2) みんなで考え、話し合い、共に行動し、絆で結ばれた地域
(3) 保健・福祉・医療が充実し、誰もが安心して元気に暮らせる地域
(4) 地域の防災・防犯対策が充実し、誰もが快適な生活を実感し、安全・安心に暮らせる地域
(5) 学校・家庭・地域の連携により教育環境が充実し、誰もが生涯にわたって学べる地域
(6) 地域資源を活かし、産業を育成し、誰もが働きやすい地域
(7) 歴史・伝統を守り、文化を創造する地域
(8) 年齢・性別に捉われず、誰もが参加しやすい地域
(基本原則)
第6条 市民、市及び議会は、次に掲げる自治に関する基本原則に基づき、地域づくりを進めます。
(1) 自治の主体は市民であり、自治の主権は市民にあります。
(2) 市民の積極的な参加による地域づくりを推進します。
(3) 協働による地域づくりを推進します。
(4) 市政及び地域の情報は、互いに共有します。

 第3章 協働による地域づくり
(協働による地域づくり)
第7条 市民、市及び議会は、地域づくりの推進に当たっては、前条第3号に規定する基本原則に基づき、協働により推進するものとします。この場合において、必要に応じて協定等を締結し、役割等を定めるものとします。
(協働における役割)
第8条 市民は、地域づくりの担い手であることを自覚し、自らの活動による地域づくりの推進に努めるものとします。
2 市民は、積極的に市政に参加し、行政及び議会とともに地域づくりの推進に努めるものとします。
3 市は、市民の主体性、自主性及び自立性を尊重し、その活動を積極的に支援するとともに地域づくりを具体的に推進するため、総合計画等各種計画の策定、制度等の整備に努めるものとします。
4 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)に定める議会の権限を最大限に行使し、市民を代表する意思決定機関として行政運営を監視し、評価し、市民の意見を行政の政策に反映させるよう努めるものとします。

 第4章 地域づくりの推進
(総合計画)
第9条 市長は、第5条に掲げる、めざす地域の姿を踏まえ、総合的かつ計画的な地域づくりを推進するため、滝沢市の最上位計画として基本構想、基本計画及び実行計画を内容とする総合計画(以下「総合計画」といいます。)を策定し、その実現を図るものとします。
2 総合計画を策定する場合は、市民が参加できる方法を用いるものとし、その意見を当該計画に反映するものとします。
3 基本構想は、議会の議決を経なければなりません。
4 市が行う政策は、総合計画に基づくものとします。
5 市長は、総合計画を展開し、その進捗状況を公表するものとします。
6 市長は、社会経済情勢の大きな変化及び第17条第2項に規定する行政評価による見直しを踏まえ、必要に応じて総合計画の見直しを行うものとします。
(情報共有等)
第10条 市民、市及び議会は、地域づくりの推進に当たっては、第6条第4号に規定する基本原則に基づき、情報を共有して推進するものとします。この場合において、市及び議会は、市政に関する情報について、市民に対し積極的かつ丁寧な説明を行う責任を負うものとします。
2 市及び議会は、個人に関する情報を適正に管理し、保護しなければなりません。
3 市は、個人に関する情報の保護及び行政情報の公開に関する手続その他の必要な事項について、別に条例を定めるものとします。
(市政参加等)
第11条 市及び議会は、市政について、市民の多様な参加の機会を設けるとともに、意見及び提案を求め、これを反映するよう努めるものとします。
2 市は、市民が市政に参加するに当たり、男女共同参画社会の形成等に配慮し、誰もが参加しやすい環境を整備するよう努めるものとします。
3 市及び議会は、子ども(18歳未満の市民をいいます。)が意見を表明できる機会を、積極的に設けるよう努めるものとします。
4 市民は、市及び議会が設ける多様な参加の機会を活用し、積極的に自治の主体として発言し、及び行動するよう努めるものとします。
5 市民は、公益的な観点から、市及び議会に対し市政に関する提案を行うことができるものとします。
6 市及び議会は、前項の提案があった場合は、公開を原則とした審査を実施し、有益であると認められる提案については、その実現に向けて適切な措置を講ずるものとします。
7 市は、市民の市政参加に関する手続その他必要な事項について、別に条例を定めるものとします。
(住民投票)
第12条 市長は、市政に関わる重要な事項について、市民の意思を確認するため、住民投票を実施できるものとします。
2 市民、市長及び議会は、住民投票の結果を尊重するものとします。
3 市は、住民投票の市長への実施請求及び実施に係る手続その他必要な事項について、別に条例を定めるものとします。

 第5章 地域コミュニティの運営
(地域コミュニティ活動)
第13条 地域コミュニティは、それぞれの特性を活かすとともに、連携し、協力して地域の共通課題の解決を図り、地域づくりを推進するものとします。
2 地域コミュニティは、地域の将来像を自ら考え、その課題の解決に向けて取り組むよう努めるものとします。
3 地域コミュニティは、その活動に各世代の市民が参加できる機会を設けるとともに、体験を通して地域の将来を担う人材を育成するよう努めるものとします。
(運営の原則)
第14条 本市に居住する者は、地域コミュニティを構成する各種団体(以下「各団体」といいます。)に積極的に加入し、その活動に参加するものとします。
2 本市に通勤し、又は通学する者は、各団体の活動に積極的に参加し、地域づくりに関わるものとします。
3 地域コミュニティは、効率的な活動を行うため、各団体の相互で活動内容その他の情報を共有するよう努めるものとします。
4 地域コミュニティは、その活動の活性化を図るため、各団体の相互で評価を実施し、その結果を共有してその後の活動に反映させるよう努めるものとします。
(条例の制定)
第15条 市は、地域コミュニティの活力が最大限に発揮されるよう、その役割その他必要な事項について、別に条例を定めるものとします。

 第6章 行政運営の原則
(財政運営の原則)
第16条 市は、健全な財政運営に努めるものとします。
2 市は、財政状況に関する情報、予算の編成及び執行に関する情報並びに将来の財政の見通しを公表するものとします。
(行政評価)
第17条 市は、行政運営を効果的かつ効率的に行うため、政策、施策その他行政の運営に関する事項について行政評価を実施するものとします。
2 市は、前項の行政評価の結果に基づき見直しを行うとともに、これを総合計画の進行管理等及び予算の編成等に反映させるものとします。
3 市は、第1項の行政評価を行う場合は、市民が参加できるよう努めるとともに、行政評価の結果を公表するものとします。
(自治立法権の行使による政策実現)
第18条 市は、行政運営上の課題解決を図るため、法令等の自主的かつ適正な解釈及び運用のもと、関係法令との整合性を図り、自治立法権の積極的な行使により、政策の実現に努めるものとします。
(行政組織)
第19条 市は、行政組織を整備し、行政運営上の課題等に迅速に対応するものとします。
(審議会等)
第20条 市は、法令等の規定により設置する附属機関及び必要に応じて設置する審議会等の委員を選任する場合は、識見を有する者を選任するほか、公募等により市民の幅広い層から必要な人材を選任するよう努めるものとします。
2 市は、会議及び会議録を公開しなければなりません。ただし、市長が公開することが適当でないと認める場合は、その限りでありません。
(行政運営等に関する条例)
第21条 市は、行政の機能、役割その他必要な事項について、別に条例を定めるものとします。

 第7章 議会運営の原則
(議会運営の原則)
第22条 議会は、市民に開かれた議会運営を行うよう努めるものとします。
2 議会は、政策立案機能の充実を図るとともに、自治立法活動、調査活動等を行うものとします。
(議会評価)
第23条 議会は、議会運営を効果的かつ効率的に行うため、政策立案、自治立法活動、調査活動その他議会の運営に関する事項について議会評価を実施するものとします。
2 議会は、前項の議会評価の結果に基づき見直しを行うとともに、これを議会運営に反映させるものとします。
3 議会は、第1項の議会評価を行う場合は、市民が参加できるよう努めるとともに、議会評価の結果を公表するものとします。
(議会の運営等に関する条例)
第24条 議会は、議会の機能、役割その他必要な事項について別に条例を定めるものとします。

 第8章 危機管理体制及び地域づくりにおける連携
(危機管理体制の確立)
第25条 市は、個人の生命、身体及び財産を保護するとともに、緊急時に総合的かつ機能的な活動を行うため、危機管理体制の確立を図らなければなりません。
2 市は、前項の目的を達成するため、広域的な視点から近隣自治体との連携強化に努めるものとします。
3 地域コミュニティは、災害等の発生時において、自主的かつ主体的に避難、防災等の初動活動を行うとともに、互いに協力して対処することができるよう日頃から地域での信頼及び交流関係を築くよう努めるものとします。
4 市は、前項における地域コミュニティの活動に対し、必要な情報を提供するなど積極的に支援するものとします。
(地域づくりにおける連携等)
第26条 市民、市及び議会は、大学、研究機関、企業等と連携し、その見識等をより効果的な地域づくりに活用するよう努めるものとします。
2 市民、市及び議会は、国及び他の自治体と連携し、協力し、地域づくりの共通課題の解決に努めるものとします。
3 市民、市及び議会は、市外の人々と連携し、その見識等をより効果的な地域づくりに活用するよう努めるものとします。
4 市民、市及び議会は、国際交流の推進に努めるとともに、多文化共生社会の視点に立った地域づくりを推進するものとします。

 第9章 権利及び責務
(市民の権利及び責務)
第27条 市民は、市政に参加する権利を有するとともに、自治の主体としてその発言及び行動に責任を持ち、積極的に市政に参加するよう努めるものとします。
2 市民は、市政に関する情報を知る権利を有するとともに、自らも積極的に市政に関する情報を入手するよう努めるものとします。
3 市民は、法令等の定めるところにより、行政サービスの提供を受ける権利を有するとともに、納税等の義務を負うものとします。
4 市民は、法令の定めるところにより選挙権を有するとともに、自治の主体として最大限その権利を行使するよう努めるものとします。
(市長の責務)
第28条 市長は、市民とともに地域づくりを推進するという認識のもと、行政運営に関する基本方針を毎年度策定し、公表し、その方針に基づいて職務を遂行しなければなりません。
2 市長は、職員の能力向上に努めるとともに、適切に指揮監督し、行政運営を行わなければなりません。
3 市長は、選挙公約を総合計画に反映させるよう努めるものとします。
(市議会議員の責務)
第29条 議員は、市民とともに地域づくりを推進するという認識のもと、常に市民全体の利益を優先し、職務を遂行しなければなりません。
2 議員は、自らの考えを明らかにするとともに、広く市民の声を聴き、政策立案及び議会運営に反映させるよう努めるものとします。
(市職員の責務)
第30条 職員は、法令等を遵守し、全体の奉仕者として、誠実、公正かつ効率的に職務を遂行しなければなりません。
2 職員は、行政運営上の課題等に的確に対応するため、積極的に知識、技能等の習得に努めるものとします。
3 職員は、市民とともに地域づくりを推進するという認識のもと、市民との対話を図るとともに、地域コミュニティの一員として、自らも積極的に地域づくりの活動に参加するよう努めるものとします。

 第10章 公正及び信頼の確保
(行政手続)
第31条 市は、処分、行政指導及び届出に関する手続を定め、市民の権利利益を保護するとともに、透明で公正かつ公平な行政手続を確保しなければなりません。
(倫理)
第32条 市長及び議会は、政治倫理を確立し、公務に対する市民の信頼の確保を図らなければなりません。
2 市長は、公務員倫理を確立し、公務に対する市民の信頼の確保を図らなければなりません。
(公益通報等)
第33条 市長は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号)の規定及び同様の取扱いに対する公益通報(以下「公益通報」といいます。)を受ける体制を整備しなければなりません。
2 市は、市民からの意見、要望等(以下「意見等」といいます。)を受けた場合は、誠実に応じ、迅速かつ適切な措置を講ずるものとします。
3 市及び議会は、公益通報又は意見等を行った者に対し、それを理由とする不利益な取扱いを一切してはなりません。
4 市は、公益通報及び意見等の処理に係る手続その他必要な事項について、別に条例等を定めるものとします。

 第11章 条例の実効性の確保等
(条例の運用状況の調査等)
第34条 市民、市長、議員及び職員は、この条例を遵守し、地域づくりを推進するものとします。
2 市長は、この条例の運用状況の調査及び検討を毎年行い、その結果を公表するものとします。
3 市長は、前項の規定による調査及び検討の結果を踏まえ、適切な措置を講ずるものとします。
(条例の検証等)
第35条 市長は、別に条例で定めるところにより、滝沢市自治基本条例検証委員会(以下「委員会」といいます。)を設置するものとします。
2 委員会は、この条例の運用状況及びこの条例に基づく地域づくりに関して、市長に提言できるものとします。
3 委員会は、市長の諮問に応じ、この条例の運用状況を検証し、地域づくりを推進するために解決すべき課題、必要な措置等を検討し、その結果を市長に答申するものとします。
4 市長は、委員会の答申又は提言を尊重し、その内容を公表するものとします。
(条例の見直し)
第36条 市長は、前2条の規定によりこの条例の見直しを行う場合は、多様な方法を用いて、市民の意見及び提案を求めるよう努めるものとします。

 附 則
この条例は、平成26年4月1日から施行します。