東海村自治基本条例
平成24年6月20日条例第13号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 村民の権利と役割(第6条―第8条)
第3章 地域自治(第9条―第11条)
第4章 村議会の責務(第12条―第15条)
第5章 村の執行機関の責務(第16条―第21条)
第6章 村政運営(第22条―第28条)
第7章 住民投票(第29条・第30条)
第8章 自治基本条例推進委員会(第31条)
第9章 条例の見直し(第32条)
附則
前文
私たちのまち東海村は,昭和30年(1955年)に村松村と石神村が合併して誕生しました。悠々とした久慈川の流れ,白い砂青い松林,その眼前には太平洋が果てしなく広がる自然に恵まれた美しいまちです。また,日本の原子力発祥の地として科学技術と伝統的文化が融合する活気あるまちでもあります。
私たちは,「分権型社会,少子高齢化,高度情報化時代」の到来により,社会構造が大きく転換しようとしている今,確固たるまちづくりを未来へ引き継がなければなりません。
そのためには,「村民自ら考え,自らが決め,そして自らが責任を持って行動する」地方自治の精神に則り,誰もが協働し参画できる村民による自治を実現しなければなりません。
私たちは,この地方自治の精神を基本理念として,誇りを持って安全・安心して暮らせるまちづくりを推進するため,ここに,新たな自治の規範を定める「東海村自治基本条例」を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,本村の自治の基本的な原則並びにまちづくりに関する村民,村議会及び村の執行機関の役割を明らかにするとともに,地域自治及び村政運営についての基本的な事項等を定めることにより,村民が主体のまちづくりを協働して推進することを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は,本村自治の基本原則及びまちづくりに関する基本的な原則を定めた最高規範であり,村民及び村は,この条例を誠実に遵守するものとします。
2 村は,この条例の内容に即して,他の条例,規則等の制定及び改廃に当たり,整合性を図るものとします。
(用語の定義)
第3条 この条例において使用する用語の意義は,次のとおりとします。
(1) 住民 村内に住んでいる人をいいます。
(2) 事業者等 村内で働き,又は学ぶ人及び村内で事業を営む,又は活動する個人若しくは法人その他の団体をいいます。
(3) 村民 住民及び事業者等をいいます。
(4) 村民組織 村民により自主的に形成され,まちづくりのために,互いに協力し,多様な活動を行う組織をいいます。
(5) 村 村議会及び村の執行機関で構成する地方公共団体をいいます。
(6) 村の執行機関 村長,教育委員会,選挙管理委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会をいいます。
(7) まちづくり まちを活気のある明るく住みよくするための事業や活動をいいます。
(8) 自治 村民が村政に参画し,その意思と責任に基づき村政が行われることのほか,地域の公共的活動を自ら担い,主体的にまちづくりを推進することをいいます。
(9) 協働 まちづくりのために,村民と村とが情報を共有し,それぞれの役割を担いながら対等の立場で協力し,共に考え行動することをいいます。
(10) 自治会 一定の地域的区画内における生活環境の課題解決又は共通利益の実現に向け,地域を代表しつつ,地域の管理にあたる村民組織をいいます。
(11) 地域自治 前号に掲げる自治会の区域内において,自治会が自主的及び自立的に活動し,地域のまちづくりを推進することをいいます。
(まちづくりの基本的な考え方)
第4条 村民及び村は,次に掲げるまちづくりを推進するものとします。
(1) 安全・安心して暮らせるまちづくり
(2) 男女共同参画社会を実現するまちづくり
(3) 未来を担う子どもたちの健全育成を図るためのまちづくり
(4) 美しく住み良いまちを未来に継承するための環境に配慮したまちづくり
(自治の基本原則)
第5条 村民及び村は,村民の幸せのため,次に掲げる基本原則に基づき,協働して自治を推進するものとします。
(1) 村民主体の原則 まちづくりの主体は,村民であること。
(2) 情報共有の原則 村政に関する情報を共有すること。
(3) 参画と協働の原則 村民が積極的に村政に参画し,村民同士又は村と協働して,より責任のある役割を担うこと。
(4) 補完性の原則 自助・共助・公助の考え方に基づき,村民と村が,それぞれの役割分担のもとに協働すること。
第2章 村民の権利と役割
(村民の権利)
第6条 村民は,平和で良好な環境の下で,自由及び幸福の追求に対する権利が保障され,自己実現を図ることができるほか,次に掲げる権利を有します。
(1) まちづくりの主体として,まちづくりに参画すること。
(2) 村政に関する計画や政策の着想段階から参画すること。
(3) 村政についての情報を知る権利を有し,村に対し,村が保有する情報の公開を求めること。
(村民の役割)
第7条 村民は,まちづくりの主体として,次に掲げる役割を担うものとします。
(1) 村と協働して,地域社会の発展に寄与すること。
(2) 互いの活動を尊重すること。
(3) 自らの行動と発言に責任を持つこと。
(事業者等の役割)
第8条 事業者等は,地域社会の一員として,地域社会との調和を図るとともに,暮らしやすい地域社会の実現に寄与するものとします。
第3章 地域自治
(村民組織の尊重)
第9条 村民は,村民組織がまちづくりを推進する主要な担い手であることを認識し,村民組織を尊重し,守り育てるものとします。
2 村は,村民組織の自主性及び自立性を尊重し,必要な支援を行います。
(地域自治の推進)
第10条 村は,地域の特性と自主性が生かされた,個性豊かで魅力ある地域のまちづくりを実現するため,自治の基本原則に基づき,地域自治の確立に向け,一層の推進に取り組みます。
(自治会活動の推進)
第11条 住民は,地域社会の一員として,自治会の役割について理解するとともに,積極的に自治会に加入し,可能な分野で持てる能力を発揮することができるものとします。
2 自治会は,住民への加入促進に向け,村と協働して必要な環境づくりに努めます。
3 村は,自治会の主体性及び自主性を尊重し,自治会活動に対して,必要な支援を行います。
第4章 村議会の責務
(村議会の責務)
第12条 村議会は,村民の代表機関として,村の意思決定機関であり,法律若しくはこれに基づく政令又は条例の定めるところにより議決の権限を行使し,村民の意思が的確に反映されるよう努めます。
2 村議会は,村の執行機関の活動を監視し,評価することにより,適正な行政運営の確保に努めます。
3 村議会は,政策の立案,提言の内容の充実を図るための調査研究活動に努めます。
(開かれた議会運営)
第13条 村議会は,村議会が保有する情報を公開するとともに,会議及び委員会等を積極的に公開し,並びに議会活動について村民に説明することにより,村民との情報の共有に努めます。
(村議会議長の責務)
第14条 村議会議長は,村議会を代表し,公正中立に職務を遂行するとともに,円滑かつ効率的な議会運営に努めます。
(村議会議員の責務)
第15条 村議会議員は,村民の意向把握や情報収集に努め,村民全体の利益を優先して政策提言を行います。
2 村議会議員は,政治倫理の確立に努め,公正かつ誠実に責務を遂行し,村民の信託にこたえます。
3 村議会議員は,村議会の責務を自覚し,その誠実な遂行のため自己研鑽に努めます。
第5章 村の執行機関の責務
(村長の責務)
第16条 村長は,村の代表者として村民の信託にこたえ,公正かつ誠実に村政を運営します。
2 村長は,この条例の理念に基づき,村の計画及び政策の策定,実施,評価等を行います。
(村の執行機関の責務)
第17条 村の執行機関は,条例,予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令,規則その他の規程に基づく事務を適正に管理し,執行します。
2 村の執行機関は,行政組織について効率的かつ機能的なものとするとともに,相互の連携を図り,最小の経費で最大の行政効果を上げるよう運営します。
3 村の執行機関は,職員を適切に指揮監督し,職員の能力の向上を図ります。
(説明責任)
第18条 村の執行機関は,村政に関する施策について,その立案,実施及び評価の各段階において,村民に分かりやすく説明します。
2 村の執行機関は,村民からの村政に関する質問,意見,要望等に対し,速やかに,かつ,誠実にこたえます。
(行政評価)
第19条 村の執行機関は,効率的かつ効果的に村政運営を推進するため,常に村政運営の目標と成果を明らかにするとともに,その達成度を検証し,事業の効果的な選択及び質の向上並びに財源や人員の効率的活用を図ります。
2 村の執行機関は,施策や事務事業の評価結果を公表し,村民から理解が得られる村政運営を推進します。
(財政経営の基本)
第20条 村の執行機関は,中長期的な視点に立って,計画的な財政経営を図るとともに,効率的かつ効果的な行政運営を行うことにより,財政の健全化の確保に努めます。
2 村の執行機関は,毎年度の予算及び決算その他財政に関する情報を,村民に分かりやすく公表します。
(村の執行機関の職員の責務)
第21条 村の執行機関の職員は,村民のために,公平,公正かつ誠実に職務を遂行します。
2 村の執行機関の職員は,職務の遂行に必要な知識と能力の向上に努めます。
第6章 村政運営
(協働して行う村政運営)
第22条 村は,村政に関する計画や政策の着想段階から村民の参画を促進し,村民と協働して村政運営を行います。
2 村は,村民との協働に当たっては,協働の考え方及び相互の役割分担をあらかじめ明らかにし,相互理解及び信頼関係を構築します。
(危機管理)
第23条 村は,原子力事故による災害及び自然災害等に備え,地域防災計画等を策定するとともに,これを担う体制を整備し,情報の収集と村民への提供及び防災訓練を行います。
2 村は,原子力事故による災害及び自然災害等に備え,村民及び関係機関との協力,連携及び相互支援を図ります。
3 村民は,原子力事故による災害及び自然災害等の発生時において,自らを守る努力をするとともに,相互に協力して自らの果たす役割を認識し,対応するものとします。
(村民意見の公募)
第24条 村は,重要な計画及び政策の策定又は変更について事前に案を公表し,村民の意見を求めます。
2 村は,村民から提出された意見を尊重し,必要に応じて案の改定を行い,その結果を公表します。
(委員会等の委員の委嘱等)
第25条 村は,委員会等の委員として委嘱等をしようとするときは,原則として公募の委員を加え,男女比率,年齢構成,地域構成等に配慮し,村民の多様な意見を反映します。
(情報の公開)
第26条 村は,公正で開かれた村政の実現を図るため,村政についての情報を適切かつ速やかに公開します。
(個人情報の保護)
第27条 村は,村民の個人情報に関する権利を保障するとともに,個人情報を適正に管理します。
(総合計画等)
第28条 村は,この条例の理念に基づき,総合計画を定め,計画的な村政運営を行います。
2 村は,総合計画その他村の施策の基本となる計画策定に当たっては,村民参画の機会を保障します。
第7章 住民投票
(住民投票)
第29条 村長は,村政の特に重要な事項について,直接住民の意思を確認する必要があるときは,村議会の議決を経て住民投票を実施することができます。
2 村は,住民投票の結果を尊重します。
3 住民投票を行うときは,その都度投票できる人,投票結果の取り扱いなどを規定した条例を別に定めます。
(住民投票の発議・請求)
第30条 住民のうち選挙権がある人は,地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第74条の規定により,住民投票を規定した条例の制定を村長に請求することができます。
2 村議会議員は,法第112条の規定により,住民投票を規定した条例を発議することができます。
第8章 自治基本条例推進委員会
(自治基本条例推進委員会の設置)
第31条 村長は,この条例の実効性を確保するため,自治基本条例推進委員会(以下「推進委員会」といいます。)を設置します。
2 推進委員会に関し必要な事項は,別に定めます。
第9章 条例の見直し
(条例の見直し)
第32条 村は,この条例が常に社会の変化に対応したものであるか検証し,必要に応じ,この条例を改正します。
附 則
この条例は,平成24年10月1日から施行します。