条例

厚木市自治基本条例

自治体データ

自治体名 厚木市 自治体コード 14212
都道府県名 神奈川県 都道府県コード 00014
人口(2015年国勢調査) 223,705人

条例データ

条例本文

厚木市自治基本条例
平成22年12月24日公布
平成22年厚木市条例第25号

目次
前文
第1章 総則(第1条~第3条)
第2章 自治の基本理念(第4条)
第3章 自治の基本原則(第5条)
第4章 市民(第6条~第9条)
第5章 議会及び議員(第10条・第11条)
第6章 市長、市長等及び市職員(第12条~第14条)
第7章 行政運営(第15条~第27条)
第8章 参加及び協働の推進(第28条~第36条)
第9章 広域連携及び交流(第37条)
第10章 自治基本条例推進委員会(第38条)
第11章 自治基本条例の見直し(第39条)
第12章 自治基本条例の改正(第40条)
附則

大山に連なる山々や丘陵の豊かな緑と、相模川を始めとする多くの清流に恵まれ、四季をとおして美しい自然が生き生きと輝くわたくしたちのまち厚木市は、古くから人々が自然をいかした生業を起こし、自然の循環と都市機能を融合させながら、広域的な要衝の地としての地位を築き上げてきました。
わたくしたち市民は、厚木市の豊かな自然、歴史に培われてきた文化など、先人のたゆまぬ努力により守り育はぐくまれてきた様々な厚木市の素晴らしさを受け継ぎ、未来を担う次世代に引き継ぐため、平和を希求する意思の下、人を大切にする心、互いの個性を認め合う心、人と人との絆きずなを大切にする心を尊び、個人として尊重され、連帯して自治の推進に努めなければなりません。
これらを基本として、市民、議会及び市長等が共通の目標を定め、互いの立場を認め合い、尊重し合い、支え合いながら、それぞれの役割を果たし、協力していく、協働による自治を推進するとともに、活力に満ちた心豊かに暮らせる自立したまちをつくるため、ここに厚木市自治基本条例を制定します。

第1章 総則
(目的)
第1条 この自治基本条例は、厚木市における自治の基本理念及び基本原則並びに市民、議会及び市長等の役割、責務等を明らかにするとともに、自治を推進するための基本的な事項を定め、もって自治の確立を図ることを目的とする。
(自治基本条例の位置付け)
第2条 この自治基本条例は、厚木市の自治を推進する上で、最も尊重すべき条例とする。
2 この自治基本条例以外の条例、規則等(以下「条例等」という。)の制定、改正、廃止及び運用は、この自治基本条例の趣旨にのっとり行わなければならない。
3 この自治基本条例の内容に即し、分野別の基本条例を整備することにより、条例等の体系化を図るものとする。
(定義)
第3条 この自治基本条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 次に掲げるものをいう。
ア 厚木市内に居住する者
イ 厚木市内に通学し、又は通勤する者
ウ 厚木市内において活動を行う個人及び法人その他の団体
エ 厚木市に対し納税の義務を負う者
(2) 自治 厚木市に関することを自らの責任と権限において、市民の意思に基づき決定し、実施することをいう。
(3) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(4) 協働 市民、議会及び市長等がそれぞれの役割を理解し、自主性を尊重し、対等な立場で相互に補完し、及び協力することをいう。
(5) まちづくり 活力に満ちた心豊かに暮らせるまちをつくるための取組全般をいう。
(6) コミュニティ団体 構成員が地縁又は共通の公共的な関心事によってつながりを持ち、互いに助け合い、及び共通の目的を達成するために活動する団体をいう。

第2章 自治の基本理念
第4条 自治の基本理念は、次に掲げるとおりとする。
(1) 人と人との絆きずなを大切にする自治
(2) 協働による自治
(3) 自然の循環と文化を大切にする自治

第3章 自治の基本原則
第5条 市民、議会及び市長等は、自治の基本理念にのっとり、次に掲げる原則を定め、自治を推進する。
(1) 市民自治の原則
ア 自治の主体は、市民であること。
イ 市民の意思に基づくまちづくりを行うこと。
ウ 地域の身近な課題は、地域で取り組むこと。
(2) 参加及び協働の原則
ア 市民のまちづくりへの参加を進めること。
イ 相互の活動への参加を広げること。
ウ 協働によるまちづくりを進めること。
(3) 情報共有の原則
ア まちづくりにかかわる情報が貴重な共有財産であることを認識すること。
イ 保有する情報を分かりやすく公表し、情報の共有を図ること。
(4) 説明責任の原則
ア 相互に説明責任を果たすこと。
イ 説明は、分かりやすいものであること。
(5) 自然共生及び文化継承の原則
ア 自然との共生を図ること。
イ 文化の継承及び創造に努めること。

第4章 市民
(市民の権利)
第6条 市民は、次に掲げる権利を有する。
(1) 安心・安全に生活する権利
(2) 知る権利
(3) まちづくりに参加する権利
(市民の責務)
第7条 市民は、自治の主体としての意識を高め、まちづくりに関心を持つとともに、まちづくりに参加するよう努めなければならない。この場合において、市民は、まちづくりに参加できないこと等により、不利益を受けない。
2 市民は、まちづくりへの参加に当たっては、互いに尊重するとともに、自らの発言及び行動に対して責任を持たなければならない。
3 市民は、行政サービスに伴う負担を分担しなければならない。
(子どもの権利、責務等)
第8条 子ども(18歳未満の市民をいう。以下同じ。)は、市民の権利を有するとともに、次代の社会の担い手として健やかに成長できるよう、次に掲げる権利を有する。
(1) 生きる権利
(2) 育つ権利
(3) 守られる権利
2 子どもは、その年齢に応じた市民の責務を負う。
3 市民、議会及び市長等は、子どもの成長過程における保護及び支援の必要性を認識し、子どもが健やかに育つ環境の整備に努めなければならない。
(事業者の権利及び責務)
第9条 事業者(厚木市内で事業を営む個人及び法人その他の団体をいう。)は、市民の権利を有し、市民の責務を負うとともに、地域社会の一員として、周辺環境との調和に留意し、暮らしやすいまちづくりに寄与するよう努めなければならない。

第5章 議会及び議員
(議会の役割及び責務)
第10条 議会は、直接選挙により信任を得た議員によって構成される厚木市の意思決定機関として、市民の意思を把握し、その意思を市政に反映するよう努めなければならない。
2 議会は、市民福祉の充実を図るため、重要な政策等の議決及び行政運営の監視等の役割を果たさなければならない。
3 議会は、市民に議会の活動又は審議に関する情報を公開すること等により、市民に分かりやすく、かつ、開かれた議会運営に努めなければならない。
(議員の役割及び責務)
第11条 議員は、議会の役割及び責務を認識し、地域の課題及び市民の意見を把握するとともに、総合的な視点に立ち、公正かつ誠実に職務を行わなければならない。
2 議員は、職務に伴う調査研究活動等を通じ、審議能力及び政策提案能力の向上に努めなければならない。

第6章 市長、市長等及び市職員
(市長の役割及び責務)
第12条 市長は、経営感覚を持ち、公正かつ誠実に職務を行わなければならない。
2 市長は、政策等の意思決定に至る経過等について、多様な方法により市民への説明責任を果たさなければならない。
3 市長は、毎年度、市民及び議会に対して、市政運営の方針を示すとともに、その取組状況について説明しなければならない。
(市長等の役割及び責務)
第13条 市長等は、その権限及び責任において、公正かつ誠実に行政運営を行わなければならない。
2 市長等は、事務事業の執行等について、市民への説明責任を果たさなければならない。
3 市長等は、相互の連携及び協力を図り、一体として、行政機能を発揮しなければならな
い。
(市職員の役割及び責務)
第14条 市職員は、市民全体の奉仕者であることを自覚し、公正、誠実かつ適切に行動しなければならない。
2 市職員は、社会状況の変化、市民ニーズ等を的確にとらえるとともに、事務事業の目的を常に認識し、職務を行わなければならない。
3 市職員は、政策等を立案し、及び遂行する能力の向上に努めなければならない。

第7章 行政運営
(行政運営の基本事項)
第15条 市長等は、自治の基本原則に基づき、政策等の企画立案、実施、評価及び改善のサイクルを確立するとともに、各過程への市民の参加及び協働による行政運営を行うものとする。
2 市長等は、政策等の優先性を考慮するとともに、厚木市の資源を最大限に活用し、最少の経費で最大の効果を挙げるよう行政運営を行うものとする。
3 市長等は、市民福祉の充実及び成果重視の視点により、行政運営を行うものとする。
(総合計画)
第16条 市長は、この自治基本条例の趣旨にのっとり、行政運営を総合的かつ計画的に進めるための基本構想及びこれを具体化するための計画(以下「総合計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本構想の策定に当たっては、議会の議決を得なければならない。
3 市長等は、総合計画以外の計画を策定するときは、総合計画との整合を図り、及び計画相互の体系化に努めるものとする。
(組織等)
第17条 市長等は、効果的かつ効率的な行政運営を行うための、市民に分かりやすい組織を形成するものとする。
2 市長等は、市職員がその能力及び適性をいかすことができるよう、人事配置を行うとともに、市職員が常に能力向上に取り組むことができるよう、人材育成の基本方針を策定するものとする。
(行政評価)
第18条 市長等は、効果的かつ効率的な行政運営を行うため、行政評価(行政運営を一定の基準に従い評価し、その結果を改善に結びつけることをいう。以下同じ。)を実施するものとする。この場合において、市長等は、市民が参加する評価の方法を取り入れるよう努めなければならない。
2 市長等は、行政評価の結果を公表するとともに、その結果を踏まえた行政運営を行うものとする。
(財政運営)
第19条 市長は、中長期的な展望に立った健全な財政運営を行うものとする。
2 市長は、総合計画の着実な推進を目指し、その進捗ちょく状況を踏まえた予算編成を行うものとする。
3 市長は、財政運営の透明性を高めるため、財政状況を公表するものとする。
(危機管理)
第20条 市長等は、市民の生命、身体及び財産を保護するため、自然災害、重大な事故及び事件、感染症の拡大その他の非常時に備えた関係機関等との連携を始めとする総合的な対策を講じなければならない。
2 市民は、非常時においては、自助及び共助の精神の下、互いに協力し、事態に対処するよう努めなければならない。
(情報の公開等)
第21条 議会及び市長等は、行政文書を分かりやすく作成し、かつ、適正に保管するための仕組みを整備するものとする。
2 議会及び市長等は、保有する情報の公開を市民が請求することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
(個人情報の保護)
第22条 市民、議会及び市長等は、市民の権利利益の保護を図るため、個人情報を適正に管理し、及び利用しなければならない。
2 議会及び市長等は、保有する個人情報の管理等について必要な措置を講ずるものとする。
(法令遵守)
第23条 市民、議員、市長及び市職員は、公正な自治を推進するため、法令及び条例等を遵守しなければならない。
(法令の解釈等)
第24条 議会及び市長等は、市民ニーズ又は行政課題に対応した政策等を主体的に推進するため、この自治基本条例の趣旨にのっとり、法令及び条例等を自主的に解釈するとともに、条例等を制定することにより、積極的な市政運営を推進するものとする。
(行政手続)
第25条 市長等は、行政運営における公正の確保及び透明性の向上を図るため、処分、行政指導及び届出に係る手続を適正に行わなければならない。
2 市長等は、行政手続について必要な措置を講ずるものとする。
(市民からの要望等への対処)
第26条 市長等は、市民からの要望、苦情等への対処の仕組みを整備するものとする。
2 市長等は、市民から要望、苦情等があったときは、迅速かつ適切に対処し、その経過及び結果について回答するものとする。
(行政処分等に対する不服への対処)
第27条 市長等は、行政処分等に不服がある市民の申出に対して迅速かつ適正に対処するため、必要な措置を講ずるものとする。

第8章 参加及び協働の推進
(政策等に対する意見等)
第28条 市長等は、市民の意見等を政策等に反映する仕組みを整備するとともに、提出された意見等の概要及びこれに対する考え方を公表するものとする。
(条例等の制定等への市民参加)
第29条 市長等は、次に掲げる行為を行おうとするときは、その行為の内容に応じて、関連する情報を市民に提供するとともに、市民意見等提出手続の実施等多様な市民の参加の機会を設けることにより、市民の意見等の提出を求めるよう努めるものとする。
(1) 条例等の制定、改正又は廃止
(2) 計画の策定、改定又は廃止
(3) その他重要な政策等の策定
2 市長等は、前項の規定により市民から提出された意見等の概要及びこれに対する考え方を公表するものとする。
(事業の実施に係る市民参加)
第30条 市長等は、総合計画に定める重要な事業を実施しようとするときは、説明会の開催等市民が意見等を述べることができる機会を設けるよう努めるものとする。
(審議会等の運営)
第31条 市長等は、附属機関その他これに類する機関(以下「審議会等」という。)を設置し、及び運営しようとするときは、審議会等の設置目的、審議内容等に応じ、審議会等の委員の全部又は一部を公募するよう努めるものとする。
2 市長等は、審議会等の委員を適正に選任するとともに、その選任理由等について説明しなければならない。
3 審議会等は、正当な理由がない限り、会議を公開するものとする。
4 審議会等は、必要に応じて、関係者からの意見等の聴取その他の効果的な方法により市民の意見等を求め、その意見等を審議に反映させるよう努めるものとする。
(コミュニティ団体に対する市民等の責務)
第32条 市民、議会及び市長等は、コミュニティ団体がまちづくりに果たしている役割の重要性を認識するとともに、その自主性及び自立性を尊重しなければならない。
(コミュニティ団体との協働)
第33条 市長等は、まちづくりの課題の解決に向けて、コミュニティ団体と協働を進める仕組みを整備するものとする。
2 市長等は、必要に応じて、コミュニティ団体の活動を支援するものとする。
(地区市民自治推進組織)
第34条 市民は、市民自治を推進するため、一定のまとまりのある地区において活動する様々なコミュニティ団体で構成する当該地区の課題に総合的に取り組む組織(以下「地区市民自治推進組織」という。)を設置することができる。
2 地区市民自治推進組織は、市民に開かれた組織とするとともに、市長等と連携して活動を進めるものとする。
3 市長等は、必要に応じて、地区市民自治推進組織の活動を支援するものとする。
(市民の課題解決に対する意識の高揚等)
第35条 市民は、市民相互の交流を深め、地域の課題を共有し、その解決に向けて取り組む意識を高めるよう努めるものとする。
2 市長等は、前項の規定の趣旨を達成するため、必要に応じて、次に掲げる事項に係る市民活動等を支援するものとする。
(1) 市民のまちづくりへの参加及び協働に対する意識の醸成
(2) まちづくりに取り組む人材の育成
(住民投票)
第36条 市長は、市政の重要な事項について、厚木市内に住所を有する者の意思を直接確認するため、住民投票の実施に必要な事項について別に条例を定めることにより、住民投票を実施することができる。
2 市民、議会及び市長等は、住民投票の結果を尊重しなければならない。

第9章 広域連携及び交流
第37条 議会及び市長等は、まちづくりの課題を解決し、市民生活の向上を図るため、必要に応じて、国及び他の地方公共団体との連携に努めるものとする。
2 市民、議会及び市長等は、厚木市の魅力、特性等に関する情報を発信することにより、市外の人々との交流を深めるとともに、市外の人々の意見をまちづくりにいかすよう努めるものとする。
3 市民、議会及び市長等は、国際的な視野に立ったまちづくりを推進するため、海外の都市等との連携及び交流に努めるものとする。
4 市長等は、連携及び交流に当たっては、その目的及び内容を公表するとともに、市民の参加を得て進めるものとする。
5 市長等は、市民が主体となり、市外の人々との交流を行うときは、必要に応じて、その活動を支援するものとする。

第10章 自治基本条例推進委員会
第38条 市長は、この自治基本条例の運用状況の点検を行うため、市民等で構成する厚木市自治基本条例推進委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 市長は、毎年度、この自治基本条例の運用状況について、委員会に報告しなければならない。
3 委員会は、この自治基本条例の運用状況について、市長に意見を述べることができる。
4 委員会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

第11章 自治基本条例の見直し
第39条 市長は、委員会の意見を踏まえ、この自治基本条例の運用状況を評価し、4年を超えない期間ごとに、この自治基本条例の見直しを行うものとする。
2 市長は、この自治基本条例の見直しを行うときは、市民の参加を得て行わなければならない。

第12章 自治基本条例の改正
第40条 市長は、この自治基本条例を改正しようとするときは、この自治基本条例の目的、位置付け等を踏まえ、この自治基本条例の制定に際して行った市民の参加その他の方法により行わなければならない。

附 則
この自治基本条例は、公布の日(平成22年12月24日)から施行する。