条例

木曽町まちづくり条例

自治体データ

自治体名 木曽町 自治体コード 20432
都道府県名 長野県 都道府県コード 00020
人口(2015年国勢調査) 10,584人

条例データ

条例本文

木曽町まちづくり条例

平成 18 年1 月26 日
条例第 188 号

目次
前文
第1章 総則(第 1 条-第4 条)
第2章 情報の共有(第 5 条-第10 条)
第3章 住民参加
第1節 住民参加の権利と責務(第 11 条-第13 条)
第2節 住民参加の基本原則(第 14 条-第18 条)
第3節 住民投票(第 19 条)
第4章 住民自治のしくみ
第1節 住民自治(第 20 条-第22 条)
第2節 地域自治組織(第 23 条-第27 条)
第5章 議会の役割と責務(第 28 条-第29 条)
第6章 行政の役割と責務
第1節 行政の責務(第 30 条-第33 条)
第2節 行政事務の遂行(第 34 条-第37 条)
第3節 財務(第 38 条-第42 条)
第4節 評価(第 43 条)
第7章 自治体連携等(第 44 条-第46 条)
第8章 条例の見直し(第 47 条)
附則

前文
信州木曽は、木曽御嶽山と木曽駒ケ岳の山麓に高原が広がり、その間を木曽川が流れる自然豊かな地域です。
これまでの木曽を振り返る時、古くから木曽ヒノキに代表される森林資源を持ち、地域の特性を活かした産業を興してきました。中山道により東と西の中間地点として宿場も開け、多くの人々が行き交い交流を深め、木曽の文化を高めてもきました。近現代においては、木曽の自然環境を活かした産業も発達してきています。そこには、いつの時代にも、土地に根ざした様々な地域づくりと自治が存在し、その営みの中で木曽という地域が形成されてきています。
わたしたちは、新しい時代の流れを見据える時、人権を尊重し心豊かな人づくりを行いながら、地域の資源を活かして、暮らしの安心と美しい自然を守っていける、住み良い木曽町を創ることを決意しました。
新しい木曽町を創り上げるためには、住民と行政が支え合う公民協働と自分たちの地域は自分たちで治めていくとする住民自治の発展が必要です。
ここに、木曽町は、住民の権利や責務を明らかにし、未来に向かって住民自治を進めながら、広く地域や世界に貢献していくことを目指して、まちづくり条例を制定します。

 第 1 章  総則
(目的)
第1条 この条例は、木曽町におけるまちづくりの基本的なことがらを定め、住民と町の権利や責務を明らかにし、住民自治のしくみを制度として定め、木曽町の自治とまちづくりの実現を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例において、用語の定義は次のとおりとする。
(1)住民 町内に在住、在勤又は在学する個人と町内で活動する法人その他の団体をいう。
(2)町 町議会と町の執行機関を含めた地方公共団体をいう。
(3)町議会 立法を主たる目的とする審議・議決機能を持ち、町の意思を決定する機関をいう。
(4)町の執行機関 町の行政事務を管理執行する機関をいう。
(5)協働 住民と町又は住民同士や各種団体がそれぞれに果たさなければならない責任と役割を認識し、互いに補い合い、協力することをいう。
(まちづくりの基本原則)
第3条 住民と町は、次に掲げる基本原則によりまちづくりを行う。
(1)住民は、まちづくりに関する情報を共有する権利を持つ。
(2)住民は、まちづくりに参加する権利を持つ。
(3)まちづくりは、情報公開と参加により進めていく。
(4)まちづくりは、各主体がお互いに支え合いながら行う。
(5)まちづくりは、各主体が協働して行う。
(6)まちづくりの評価を常に行い、将来に活かしていく。
(この条例の位置付け)
第4条 この条例は、町政の基本的なことがらについて町が定める最高規範である。
2 町は、他の条例、規則などの制定や改廃にあたっては、この条例の趣旨を踏まえ、整合性を図らなければならない。

 第2章  情報の共有
(情報共有の原則)
第5条 まちづくりは、自らが考え行動するという自治の理念を実現するため、住民がまちづくりについての情報を共有することを基本に進めなければならない。
2 町は、住民自らが考え行動するという自治の理念を実現するため、町政全般についての情報を速やかに住民と共有するように努めなければならない。
(情報への権利)
第6条 わたしたち住民は、法令で制限される場合を除いて、町に対し、町の持っている情報の提供を要求し、取得する権利を持つ。
(意思決定過程の情報共有)
第7条 町は、住民に対し、町政についての意思決定過程の情報を明らかにするよう努めなければならない。
2 町は、審議会や附属機関の会議を、原則として公開しなければならない。
(情報共有のための制度)
第8条 町は、その持っている情報を原則として公開しなければならない。
2 前項に関することは、別に定める。
(情報の収集及び管理)
第9条 町は、町政運営に必要な情報の収集に努めなければならない。
2 町は、その持っている情報を適正に管理しなければならない。
(個人情報の保護)
第10条 町は、個人情報の収集、利用、提供及び管理などにおいて、個人の権利と利益が侵害されることのないように必要な措置をとらなければならない。
2 前項については、別に定める。

 第3章 住民参加
第1節 住民参加の権利と責務
(まちづくりに参加する権利)
第11条  わたしたち住民は、町の将来に責任を持つまちづくりの主体者であり、まちづくりを行う権利を持つ。
2 この権利は、住民の基本的な権利であり、住民は、国籍、民族、性別、年齢、社会的・経済的環境などにかかわらず、平等な立場で、まちづくりに参加することができる。
(まちづくりの参加における住民の責務)
第12条  わたしたち住民は、責任あるまちづくりの主体者であることを自覚し、総合的立場に立ち、まちづくりにおいての発言と行動に責任を持たなければならない。
2 わたしたち住民は、まちづくりへの参加が自治を守り、進めるものであることを自覚して、積極的にまちづくりに参加し、その拡充に努めなければならない。
3 わたしたち住民は、様々な主体のまちづくり活動が自治を育てるということを認識して、互いの活動を尊重し、認め合いながらまちづくりを進めるよう努めなければならない。
(まちづくりの参加における町の責務)
第13条 町は、まちづくりを行う住民の自主性と自立的な活動を尊重するとともに、国籍、民族、性別、年齢、社会的・経済的環境などにかかわらず、様々な主体がまちづくりに果たす役割を重視して、権利の保障と拡大に努めなければならない。
第2節 住民参加の基本原則
(住民参加の原則)
第14条 町は、企画立案、実施や評価のそれぞれの過程において、住民の参加を保障する。
(計画策定における住民参加の原則)
第15条 町は、住民参加のもと、基本構想やこれを具体化するための計画(以下「総合計画」という)を策定しなければならない。
2 町は、総合計画について、評価に基づいた進行管理に努め、住民参加のもとで見直しを行うものとする。
(計画策定における住民参加の手続)
第16条 町の執行機関は、総合計画をはじめとする重要な計画の策定に際しては、その手続を公表し、意見を求めるよう努める。
2 町の執行機関は、前項の計画を決定しようとするときは、あらかじめ計画案を公表し、意見を求める。
3 町の執行機関は、前2項の規定により提出された意見について、採否の結果とその理由を付けて公表する。
(審議会等への住民参加)
第17条 町の執行機関は、審議会その他の附属機関の委員に、公募の委員を加えるよう努めなければならない。
(条例制定における住民参加の手続)
第18条 町は、まちづくりについての重要な条例を制定し、又は改廃しようとするときは、次の項目に該当する場合を除き、住民の参加を図らなければならない。
(1)関係法令などの制定改廃に基づくもので、条例の制定改廃に政策的な判断を必要としない場合
(2)用語の変更など簡易な改正で、実質的な変更を伴わない場合
(3)前2 号に準じた制定改廃の場合
2 町は、前項の条例の制定・改廃案を議会に提案しようとするときは、あらかじめ制定・改廃案を公表し、意見を求める。
3 町は前2項の規定により提出された意見について、採否の結果とその理由を付けて公表する。
4 提案者は、住民参加の方法、参加の有無や状況などについての事項を付けて、議案を提出しなければならない。
第3節 住民投票
(住民投票の原則)
第19条 町長は、町政に関わる重要事項について、直接住民の意思を確認するため、議会の議決を経て、住民投票の制度を設けることができる。
2 住民投票に参加できる者の資格その他の住民投票の実施に必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に定める。

 第4章  住民自治のしくみ
第1節 住民自治
(住民自治の定義)
第20条 住民自治とは、住民自らが、地域の発展のために意思決定に参加し、自ら考え行動することをいう。
(住民自治に関する住民の役割)
第21条 わたしたち住民は、住民自治の重要性を自覚し、自ら住民自治活動に参加するよう努めなければならない。
(住民自治に関する町の役割)
第22条 町は、住民が自主的・主体的に行う住民自治活動を尊重しなければならない。
2 町は、住民自治活動に対しては、必要に応じてこれを支援する。
第2節 地域自治組織
(地域自治組織の定義・要件)
第23条 地域自治組織とは、木曽福島・日義・開田・三岳地域において、主体的な活動を行いながら、身近な課題を解決できるよう、そこに住む地域住民により設置された組織で、各号に掲げる要件を満たすものである。
(1)組織が、その区域に住む又は活動する個人、団体、事業者などで構成されること。
(2)組織設置の目的が、地域住民と地域社会への貢献を目指すものであること。
(3)目的・名称・事務所の所在地・代表者などを明記した規約を定めていること。
(4)組織全体の運営に当たる地域協議会を置くこと。
(5)代表者と地域協議会委員を選出すること。
(地域自治組織の設置)
第24条 前条に規定する地域自治組織が設立された場合、その代表者は、町長に設置の届出をする。
(地域自治組織の権能)
第25条 地域自治組織は、町長の諮問に応じ、自らの地域に係る次の項目を調査審議し、町長に答申する。町長は、地域自治組織の答申を尊重しなければならない。
(1)新町建設計画の変更についてのことがら
(2)町の総合計画の変更についてのことがら
(3)その他町長が必要と認めることがら
2 地域自治組織は、自らの地域において行われる住民に身近な町の施策などについて、組織の決定を経て、町長に提案することができる。町長は、地域自治組織の提案を尊重する。
3 町長は、各地域において行われる住民生活と関わりの深い町の施策で、その地域に重大な影響が及ぶと考えられるものについて、あらかじめ地域自治組織の同意を得るものとする。地域自治組織の同意を必要とする町の施策については、町長が別に定める。
4 町長は、各地域において行うことが有効と考えられる町の施策について、地域自治組織がその事業を受託し、自ら行う意思を決定した場合は、その決定を尊重する。
5 地域自治組織は、提案、同意、決定に必要な情報を求め、又は質問をすることができる。その場合、町長は地域自治組織に情報を提供し、又は質問に対して回答しなければならない。
6 町長は、地域自治組織からの答申や提案などを審議するため、地域自治組織の代表者が参加する会議を設置する。
(地域自治組織への支援)
第26条 町は、地域自治組織に対し、次の項目に掲げる支援を行う。
(1)住民自治の活動拠点の提供
(2)住民自治活動に対する財政支援
(3)支所の職員による人的支援
(4)その他住民自治の推進に必要なこと
(地域まちづくり計画)
第27条 地域自治組織は、自らが取り組む活動方針や内容などを定めた地域まちづくり計画の策定に努めるものとする。
2 地域まちづくり計画を策定した場合、その代表者は、町長に届出をするものとする。
3 町は、総合計画をはじめとする重要な計画を策定する際には、広域的な観点から調整が必要な場合を除き、第1項の地域まちづくり計画を尊重するものとする。
4 町は、第1項の地域まちづくり計画の策定を必要に応じ支援するものとする。

 第5章 議会の役割と責務
(議会の役割)
第28条 町議会は、法令の定めにより、有権者より選出された議員によって構成される町の意思決定機関である。
2 町議会は、町の重要な政策について議決する権限と町政運営を監視する機能を持つ。
3 町議会は、法令の定めにより、条例の制定改廃、予算、決算の認定などを議決するとともに、執行機関に対する検査や監査請求などの権限を持つ。
(議会の責務)
第29条 町議会は、町政の審議・議決機関であることの責任を常に認識し、長期的展望をもって意思決定に臨まなければならない。
2 町議会は、行政活動が民主的で、効率的に行われているかを調査・監視するとともに、町の政策水準の向上を図るため、町独自の施策の提案と策定を行い、立法機能の強化に努めなければならない。
3 町議会は、議決に当たっては意思決定の過程やその妥当性を住民に明らかにしなければならない。

 第6章 行政の役割と責務
第1節 行政の責務
(行政の役割)
第30条 町の執行機関は、法令の定めにより、条例、予算、議会の議決に基づく事務や法令などに基づく事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し、執行する機関である。
2 町の執行機関は、事務の執行に当たっては住民との協働の実現に努めなければならない。
(町長の責務)
第31条 町長は、住民の負託に応え、町政の代表者としてこの条例の理念を実現するた
め、公正かつ誠実に町政の運営に当たり、まちづくりの推進に努めなければならない。
(執行機関の責務)
第32条 町の執行機関は、町の事務の企画立案、実施や評価において、内容、効果を住民に明らかにし、分かりやすく説明しなければならない。
2 町の執行機関は、その権限と責任において、公平・公正、誠実、迅速かつ効率的に職務を執行しなければならない。
(職員の責務)
第33条 町職員は、住民の負託に基づくことを自覚し、まちづくりの専門スタッフとして、誠実かつ効率的に職務を執行するとともに、まちづくりにおける協働と創意工夫が常に図られるよう努めなければならない。
2 町職員は、全体の奉仕者として、住民本位の立場に立ち、全力を挙げて職務遂行に努めなければならない。
第2節 行政事務の遂行
(組織・体制)
第34条 町は、まちづくりや住民の様々な行政要望に柔軟で迅速に対応できるよう、住民に分かりやすい組織・体制の整備に努めなければならない。
(法務体制)
第35条 町は、自主的で質の高い政策を遂行するため、法務に関する体制を充実し、条例、規則などの整備を積極的に行わなければならない。
(職員政策)
第36条 町は、多様化する住民の行政需要に対応できる知識や能力を持った職員の人材育成を図らなければならない。
2 町は、職員が自己の能力を向上させることができるよう研修を充実させ、能力向上のための様々な機会の保障に努めなければならない。
3 町の職員は、地域の政策課題に適切に対応していくため、あらゆる情報を収集し、政策形成能力の向上に努めなければならない。
(要望等への対応)
第37条 町は、住民から苦情、要望、提言、意見などがあったときは、速やかに事実関係を調査し、誠実に答えるよう努めなければならない。
第3節 財務
(財政運営の基本方針)
第38条 町長は、予算の編成と執行に当たっては、総合計画を踏まえて行い、最小の経費で最大の効果をあげられるよう努めなければならない。
2 町長は、中長期的な展望に立った健全な財政運営を行わなければならない。
(財政基盤の強化)
第39条 町は、町の自立した財政基盤の強化に努めなければならない。
(予算編成、予算執行)第40条 町長は、予算の編成に当たっては、予算に関する説明書の内容の充実を図ると
ともに、住民が予算の内容を具体的に把握できるよう分かりやすい情報の提供に努めなければならない。
2 町長は、町の事務の予定及び進行状況が明らかになるよう努めなければならない。
(財産管理)
第41条 町は、町の財産の保有状況を明らかにし、財産の適正な管理及び効率的な運用を図らなければならない。
(財政状況の公表)
第42条 町長は、予算の執行状況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高その他財政に関する状況について、所見を付けて分かりやすく公表しなければならない。
第4節 評価
(行政評価)
第43条 町は、総合計画などの重要な計画、予算、決算、事務内容などについて評価を実施する。
2 町は、前項の評価の結果を分かりやすく住民に公表し、政策や事務執行に反映していく。

 第7章 自治体連携等
(域内交流)
第44条 町や地域団体は、住民相互の交流や地域団体間の交流・連携を積極的に進める。
(近隣自治体との広域連携)
第45条 町は、広域的取り組みを必要とする施策については、近隣の自治体との情報の共有を一層高め、相互の理解のもと、連携して推進する。
(地域間交流)
第46条 町は、住民自治と参加に支えられた交流活動を積極的に進めて、他の自治体との連携を深め、町の発展を図る。

 第8章 条例の見直し
(この条例の検討及び見直し)
第47条 この条例の施行後4年以内に施行状況を勘案し、検討の上、その結果に基づいて必要な措置をとるものとする。

附 則
この条例は、公布の日から施行する。