条例

輪島市自治基本条例

自治体データ

自治体名 輪島市 自治体コード 17204
都道府県名 石川県 都道府県コード 00017
人口(2015年国勢調査) 24,608人

条例データ

条例本文

輪島市自治基本条例
(平成19年12月14日条例第56号)

目次

第1章 総則(第1条-第4条)
第2章 市民
第1節 市民の権利及び責務(第5条-第7条)
第2節 地域コミュニティ(第8条)
第3章 議会及び議員(第9条・第10条)
第4章 市長等及び職員(第11条-第13条)
第5章 市政運営の原則(第14条-第22条)
第6章 市民の市政への参加(第23条-第26条)
第7章 雑則(第27条・第28条)
附則

輪島市は、優れた景観を誇る海岸線などの豊かな自然環境に恵まれ、農林水産業のほか、先人たちのたゆまぬ研鑽により連綿と受け継がれてきた輪島塗をはじめとする地場産業を有し、さらに、中世よりこの地に根付く禅文化とともに藩政期に栄えた北前船による文物の往来により発展してきました。
今後ますます地方分権が進展していく中で、魅力ある地域社会を形成していくためには、市民並びに議会及び市長等がその各々の役割を自覚するとともに、輪島市固有の自然並びに歴史及び伝統文化に関する理解を深め、その意義を一層高めるとともに、これまで大切に引き継いできた有用なこれらの資源を最大限に活用し、独自の地域性を生かしながら、ともに力を合わせて公共の領域を担っていかなければなりません。
そのために、市民が自治の主体であり、市民一人ひとりが個人として尊重されること及び自らの意思と責任に基づいて自己決定することを基本理念として、市民の知恵や創意工夫を生かしながら、市民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指します。
私たちは、こうしたことを踏まえ、輪島市の運営について、基本理念及び基本原則を明らかにしてその方向性を示し、市政を自主的かつ総合的に実施し、日本国憲法に定める地方自治の本旨を具体的に実現するとともに、真の地方自治を確立するため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市の運営に関し、前文に掲げる基本理念にのっとり、基本原則並びに市民の権利及び責務、議会及び市長等のそれぞれの責務並びに自治の推進に関する基本的な事項を定めることにより、民主的で能率的な市政の確保を図り、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「自治」とは、市政が、自主的かつ自立的に、及び市民の意思に基づいて自律的に行われることをいう。
2 この条例において「市」とは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第1条の3第1項に規定する普通地方公共団体としての輪島市をいう。
3 この条例において「市民」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 市の区域内(以下この項において「市内」という。)に住所を有する者
(2) 市内に事務所又は事業所を有するとともに、活動を行う個人及び法人その他の団体(第7条において「事業者」という。)
[第7条]
(3) 市内に存する事務所又は事業所に勤務する者
(4) 市内に存する学校に在学する者
4 この条例において「市長等」とは、市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(この条例の位置付け)
第3条 市民並びに議会及び市長等は、市の運営の基本を定める最高規範として、この条例の趣旨を最大限に尊重するとともに、この条例を誠実に遵守しなければならない。
2 議会及び市長等は、計画等の策定、変更若しくは廃止又は条例、規則等の制定、改正若しくは廃止を行おうとするときは、この条例に定める事項との整合を図るとともに、この条例に定める内容に即するようにしなければならない。
(基本原則)
第4条 市の運営は、次に掲げる事項を基本原則として行われなければならない。
(1) 市民並びに議会及び市長等は、市政に関する情報を共有すること。
(2) 市民が等しく市政に参加することができるようにすること。
(3) 市民並びに議員及び市長等がそれぞれの権利及び責務を相互に認識し、連携して市政に取り組むこと。
(4) 市が国及び石川県と基本的に対等の関係にあることを踏まえ、適切に役割を分担し、かつ、協力しながら、自主的かつ自立的に市政に取り組むこと。
第2章 市民
第1節 市民の権利及び責務
(市民の権利)
第5条 市民は、市政に関する情報について、公開又は提供を求めることができる。
2 市民は、第6章に定める市民の市政への参加に関する制度に基づき、市長等が行う政策の形成、執行、評価及び政策の形成への反映(以下「政策形成等」という。)の過程に参加することができる。
(市民の責務)
第6条 市民は、自治の主体であることを自覚し、互いに尊重し、及び協力して、自治を推進するよう努めなければならない。
2 市民は、政策形成等に参加するに当たっては、自らの発言と行動に責任を持たなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、地域社会の構成員としての社会的責任を自覚し、環境に配慮するとともに、地域社会における次に掲げるものとの調和が図られるよう努めなければならない。
(1) 教育、歴史、文化等
(2) 工業、商業その他の産業
(3) 前2号に掲げるもののほか、地域社会において調和を図る必要があると認められるもの
第2節 地域コミュニティ
(地域コミュニティ)
第8条 市民は、互いに助け合い地域の課題に自ら取り組むことを目的として自主的に形成された集団(以下この条において「地域コミュニティ」という。)が自治の担い手であることを認識し、これを守り育てるよう努めなければならない。
2 市長等は、地域コミュニティの自主性及び自立性を尊重し、政策形成等を行わなければならない。
3 市長等は、地域コミュニティの活動を支援することができる。
第3章 議会及び議員
(議会の責務)
第9条 議会は、市の意思を決定し、及び市長等を監視する機関として、その役割を果たすとともに、機能の充実強化に努め、自治を推進しなければならない。
2 議会は、自治を推進するため、市民の意思を把握し、市政に反映させなければならない。
3 議会は、次に掲げる会議を公開するとともに、市政に関する情報を市民と共有し、開かれた議会運営に努めなければならない。
(1) 議会の会議
(2) 常任委員会の会議
(3) 議会運営委員会の会議
(4) 特別委員会の会議
(議員の責務)
第10条 議員は、前条に規定する議会の責務を果たすため、総合的な視点に立ち、政治倫理の確立に努めるとともに、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 議員は、調査研究活動等を通じ、議会における審議及び政策立案活動の充実に努めなければならない。
第4章 市長等及び職員
(市長の責務)
第11条 市長は、市を統轄し、代表する者として、その職務を公正かつ誠実に遂行しなければならない。
2 市長は、自治を推進するため、市民の意思を把握し、市政に反映させなければならない。
(市長以外の執行機関の責務)
第12条 市長以外の執行機関は、自らの判断と責任において、その所管する職務を公正かつ誠実に遂行するとともに、市長及び他の執行機関と協力して自治を推進しなければならない。
(職員の責務)
第13条 職員は、市民本位の立場に立ち、公正、誠実かつ効率的にその職務を遂行しなければならない。
2 職員は、その職務に関して必要な専門的知識の修得その他自治に関する事項の研修に努めなければならない。
第5章 市政運営の原則
(総合計画)
第14条 総合計画(総合的かつ計画的な市政の運営を図るための基本構想及びこれを具体化するための計画をいう。以下同じ。)は、基本理念にのっとり定められなければならない。
2 市長は、総合計画の内容を実現するため、適切な進行管理を行わなければならない。
3 市長は、総合計画が社会の変化に対応できるよう常に検討を加え、必要に応じて見直しを図らなければならない。
(行政評価)
第15条 市長は、総合計画に基づく政策等に関し、客観的に、かつ、当該政策等の特性に応じた合理的な手法を用いて、できる限り定量的に行政評価を行い、その結果を速やかに公表しなければならない。
2 市長は、前項の規定により行政評価を行ったときは、その結果を当該政策等並びに総合計画の進行管理及び予算の編成に適切に反映させなければならない。
(法令等の遵守)
第16条 議員並びに市長等及び職員は、職務の遂行に当たっては、法令及び条例等を遵守しなければならない。
(説明責任及び応答責任)
第17条 市長等は、政策形成等に関する事項の経過、内容、効果等について市民に説明しなければならない。
2 市長等は、市民の市政に関する意見、要望、提案等に対して、速やかに応答しなければならない。
(情報公開及び情報提供)
第18条 議会及び市長等は、市民の知る権利を尊重するとともに、市民に説明する責務を果たすため、別に条例で定めるところにより、議会及び市長等が保有する情報を適正に公開しなければならない。
2 議会及び市長等は、市民に対し、必要となる情報を正確で分かりやすく、かつ、適時に提供するよう努めなければならない。
(個人情報の保護)
第19条 議会及び市長等は、個人の権利利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、議会及び市長等が保有する個人情報を適正に取り扱わなければならない。
(行政手続)
第20条 市長等は、市民の権利利益の保護に資するため、別に条例で定めるところにより、行政処分等に関する手続を適正に行わなければならない。
(財政運営)
第21条 市長は、総合計画の内容の実現を目指し、及び行政評価の結果を踏まえて予算を編成するとともに、最少の経費で最大の効果が得られるよう計画的で健全な財政運営を図らなければならない。
2 市長は、財政事情及び財政に関する指標を作成し、公表しなければならない。
(危機管理)
第22条 市長等は、自然災害その他の不測の事態に迅速かつ的確に対処し、市民の生命、身体及び財産を保護するため、総合的かつ機能的な危機管理の体制の整備に努めなければならない。
2 市長等は、市民の危機管理に対する意識を高めるとともに、市民、関係機関等と相互に連携を図りながら協力して、危機管理の体制の強化に努めなければならない。
第6章 市民の市政への参加
(附属機関等への参加)
第23条 市長等は、地方自治法第138条の4第3項に規定する附属機関その他これに類するもの(以下この条において「附属機関等」という。)を設置した場合において、その委員を選任しようとするときは、次の各号のいずれかに該当する附属機関等を除き、その委員の一部を市民から公募しなければならない。
(1) 法令で委員の資格要件が規定されている附属機関等
(2) 専門的知識を必要とする附属機関等
(3) 前2号に掲げるもののほか、市民から公募することが適当でないと認められる附属機関等
2 市長等は、次の各号のいずれかに該当するときを除き、附属機関等の会議及び会議録を公開しなければならない。
(1) 法令又は条例等に特別の定めがある審議等をするとき。
(2) 会議において、輪島市情報公開条例(平成18年輪島市条例第14号)第7条各号に掲げる不開示情報に関して審議等をするとき。
[輪島市情報公開条例第7条]
(3) 会議を公開することにより公正かつ円滑な審議等が阻害されるおそれがあると認められるとき。
(市民からの意見聴取)
第24条 市長等は、市民の生活に密接にかかわる計画等の策定、変更若しくは廃止又は条例の制定、改正若しくは廃止を行おうとするときは、別に条例で定めるところにより、あらかじめ、市民からの意見を求めなければならない。
2 市長等は、前項の規定により市民からの意見を求めようとするときは、あらかじめ、市民に対して、その目的、趣旨、内容その他参考となる事項を公表しなければならない。
(住民投票)
第25条 市長は、市政に関する重要事項について、市民の意思を市政に反映するため、次条第1項若しくは第2項の規定による請求があったとき又は第3項の規定による発議をしたときは、住民投票を実施しなければならない。
2 市民並びに議会及び市長等は、前項の規定により住民投票を実施したときは、その結果を最大限尊重しなければならない。
(住民投票の請求等)
第26条 市民のうち、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第9条第2項に規定する者は、市政に関する重要事項について、その総数の6分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる。
2 議会は、市政に関する重要事項について、議員の定数の6分の1以上の者の賛成を得て議員提案され、かつ、出席議員の3分の2以上の賛成により議決したときは、市長に対して住民投票の実施を請求することができる。
3 市長は、市政に関する重要事項について、自ら住民投票を発議することができる。
4 住民投票の投票権を有する者は、市民のうち、公職選挙法第9条第2項に規定する者とする。
5 住民投票の実施その他必要な事項は、別に条例で定める。
第7章 雑則
(国及び石川県その他の地方公共団体並びに関係団体との連携及び協力)
第27条 市は、国及び石川県その他の地方公共団体並びに関係団体と共通する課題については、当該国及び石川県その他の地方公共団体並びに関係団体と相互に連携を図りながら協力して、その解決に努めなければならない。
(この条例の見直し)
第28条 市長は、4年を超えない期間ごとに、この条例の規定に関し検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、所要の措置を講じなければならない。
2 市長は、前項の措置を講じようとするときは、あらかじめ、輪島市自治基本条例に関する審議会の意見を聴かなければならない。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。
(輪島市自治基本条例に関する審議会条例の一部改正)
2 輪島市自治基本条例に関する審議会条例(平成19年輪島市条例第44号)の一部を次のように改正する。
第2条を次のように改める。
(所掌事務)
第2条 審議会は、市長の諮問に応じ、輪島市自治基本条例(平成19年輪島市条例第56号)の改正について必要な調査及び審議を行う。