条例

太宰府市自治基本条例

自治体データ

自治体名 太宰府市 自治体コード 40221
都道府県名 福岡県 都道府県コード 00040
人口(2015年国勢調査) 73,164人

条例データ

条例本文

○太宰府市自治基本条例

平成29年3月22日

条例第19号

目次

前文

第1章 総則(第1条—第4条)

第2章 市民(第5条—第8条)

第3章 議会(第9条・第10条)

第4章 市長等(第11条・第12条)

第5章 コミュニティ(第13条)

第6章 市民参画の原則(第14条—第17条)

第7章 市政運営の基本原則(第18条—第28条)

第8章 条例の見直し(第29条)

附則

四王寺山や宝満山等のみどり豊かな自然と文化遺産に恵まれた私たちのまち太宰府市は、かつて「遠の朝廷(とおのみかど)」と呼ばれた九州の政治の中心であり、また外国との窓口として歴史的にも重要な役割を果たしてきました。今日でも、太宰府天満宮、特別史跡大宰府跡、水城跡、大野城跡をはじめとする歴史的・文化的遺産や、九州国立博物館等の文化施設を有する全国屈指の観光都市であり、学問・文化交流の拠点としての良き伝統を受け継いでいます。

先人たちが築いてきたこの歴史と文化、そして豊かな自然は、私たちの大きな誇りです。私たちは、こうしたこのまちの良さを守り、しっかりと育てていきたいと願っています。

一方、少子高齢化をはじめとして、さまざまな課題が生じています。私たちは、すべての住民がこのまちで幸せに暮らせるよう、主体的に課題解決に取り組み、明るい未来をつくりあげていきたいと考えています。

こうした私たちの想いを実現するためには、市民一人ひとりがこのまちの主人公であるという理念のもと、市民、コミュニティ、議会、市長等が、それぞれの自主性及び自律性を尊重しつつ、互いに協力しながらまちづくりを行っていく必要があります。

そこで私たちは、市民を主体としたまちづくりの実現に取り組み、「太宰府に住んでよかった」と実感することができるよう、太宰府市にかかわるすべての人が笑顔あふれるまちを目指して、ここに太宰府市自治基本条例を制定し、本市における自治の基本原則を定めます。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における自治の基本理念及び基本原則を定めることにより、市民、コミュニティ、議会及び市長等が、互いに理解を深め信頼し合う関係を築き、市民を主体とした自治を推進し、市民福祉の向上を図ることを目的とする。

(条例の位置付け)

第2条 議会及び市長等は、他の条例、規則及びその他の規程(以下「条例等」という。)の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を最大限尊重し、整合性の確保を図るものとする。また、本市の市政運営上必要な基本構想その他計画を策定し、これらに基づく施策及び事業を実施し、又は法令及び条例等を執行する場合も同様とする。

(定義)

第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に住所を有する者(以下「住民」という。)、市内にある事務所又は事業所に勤務する者、市内にある学校に在学する者、市内に不動産を所有する者又は市内で事業活動その他の活動を行う者若しくは団体(以下「事業者等」という。)をいう。

(2) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会その他の執行機関及び公営企業管理者並びに当該執行機関等の事務等に従事する職員をいう。

(3) まちづくり 太宰府市を住みやすく、魅力あふれるまちにするためのあらゆる取り組みをいう。

(4) 市民参画 市の政策立案等の過程において市民が責任を持って主体的にかかわることをいう。

(5) 協働 まちづくりにかかわる多様な主体が、それぞれの役割及び責務を自覚し、市民及びコミュニティの自主性及び自律性を尊重し、対等な立場で連携し、協力して課題解決に取り組むことをいう。

(6) コミュニティ 自治会等の地縁による団体及びまちづくりの担い手として認められる特定非営利活動法人その他これらに類する団体をいう。

(自治の基本原則)

第4条 市政は、住民の信託に基づき行われるものとする。

2 市民、議会及び市長等は、市政運営に関する情報を共有するよう努めるものとする。

3 議会及び市長等は、市政への市民参画の機会を保障するものとする。

4 議会及び市長等は、市政を進めるに当たって、市民に対し、分かりやすい説明を行うものとする。

5 市民、コミュニティ、議会、市長等は、協働してまちづくりを行うものとする。

第2章 市民

(市民の権利)

第5条 市民は、日本国憲法及び法令により定められた権利を有するとともに、次に掲げる権利を有する。

(1) 市政運営に関する情報を知る権利

(2) まちづくりに参画し、意見を表明し、又は提案する権利

(市民の責務)

第6条 市民は、自らが自治の主体であることを自覚し、知る権利を積極的に行使し、及び互いの人権を尊重し、助け合いの精神をもってまちづくりに参画するよう努めるものとする。

2 市民は、自治の主体として発言をし、又は行動するに当たっては、その発言及び行動に責任を持つものとする。

3 市民は、相互の連携を図り、協力してまちづくりを行うよう努めるとともに、学生や若者等の意見及び活動を尊重するよう努めるものとする。

4 選挙権を有する住民は、その行使に努めるものとする。

(子どもの権利等)

第7条 子どもは、健やかに成長する権利を有する。

2 子どもは、それぞれの年齢に応じてまちづくりに参画する権利を有する。

3 市民及びコミュニティは、子どもが未来を担う大事な存在であることを認識し、地域における世代間交流や見守り活動等により、子どもの健全育成及び安全の確保に努めるものとする。

4 市民及びコミュニティは、子どもがまちづくりの主体として学び育っていけるよう、環境の整備に努めるものとする。

5 議会及び市長等は、子どもが、自らがまちづくりの主体であることを自覚しながら成長できるよう、環境の整備に努めるものとする。

6 議会及び市長等は、子どもがまちづくりに関して自らの意見を表明できる環境の整備に努めるとともに、表明された意見をまちづくりに活用する仕組みの構築に努めるものとする。

(事業者等の役割及び責務)

第8条 事業者等は、地域社会の一員として、その社会的な役割を認識し、地域社会の調和ある発展のために協力するよう努めるものとする。

第3章 議会

(議会の役割及び責務)

第9条 議会は、市政上の重要な意思決定を行う機関及び執行機関を監視する機関としての役割を果たすとともに、政策の立案に積極的に取り組むものとする。

2 議会は、市民参画の推進等、開かれた議会運営の実現に努めるものとする。

3 議会は、市民が議会の議決、審査及び議会活動について、その経緯及び理由等をより簡便に知ることができる方法で説明責任を果たすものとする。

(議員の役割及び責務)

第10条 議員は、この条例を遵守し、市民の負託にこたえるために、多様な方法で市民の意思を把握し、総合的な視点に立って、公正かつ誠実に職務を遂行する責務を有する。

2 議員は、調査研究その他の活動を通じ、議会における審議及び政策の立案活動の充実に努めなければならない。

3 議員は、自らの議員活動に関する情報を提供し、及び議会の議決に関する自らの見解を市民に積極的かつ分かりやすく説明するよう努めるものとする。

4 前3項に定めるもののほか、議員は、第6条に規定する市民としての責務を遵守しなければならない。

第4章 市長等

(市長の役割及び責務)

第11条 市長は、市の代表者として、この条例を遵守し、市民の声を真摯に受け止め、公正かつ誠実に市政運営を行わなければならない。

2 市長は、政策を行う際には、透明性及び客観性を確保するように努め、市民に対し説明責任を果たすよう努めるものとする。

3 前2項に定めるもののほか、市長は、第6条に規定する市民としての責務を遵守しなければならない。

(職員の役割及び責務)

第12条 職員は、全体の奉仕者として、この条例を遵守し、市民の声を真摯に受け止め、市民ニーズに適切に対応し、公正かつ誠実に法令等を遵守し職務を遂行しなければならない。

2 職員は、自らを研鑚することにより資質の向上を図り、市民の視点に立ち、意欲を持って職務を遂行し、課題等の解決に取り組まなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、職員は、第6条に規定する市民としての責務を遵守しなければならない。

第5章 コミュニティ

(コミュニティ)

第13条 市民は、コミュニティがまちづくりの担い手であることを認識し、積極的にこれに参画し、その活動に関わるよう努めるものとする。

2 コミュニティは、それぞれの特性を生かしつつ連携し、協力し、まちづくりの推進に努めるものとする。

3 市長等は、まちづくりを推進するため、コミュニティの主体性を尊重しつつ、その自主性及び自律性を損なわない範囲で、積極的にコミュニティの活動を支援するよう努めるものとする。

第6章 市民参画の原則

(情報提供及び情報公開並びに個人情報の保護)

第14条 議会及び市長等は、市政に関する情報を市民と共有することがまちづくりの基本であることを踏まえ、情報提供を積極的に行うよう努めるものとする。

2 前項の情報提供は、市民による理解が容易な形でなされなければならない。

3 議会及び市長等は、市政運営に有益な情報を積極的に収集するとともに、市民にとって有用な情報を提供するよう努めるものとする。

4 議会及び市長等は、自らが保有する情報が市民との共有財産であるとの認識に立ち、適切に情報公開及び情報共有ができるよう、自らが保有する文書、図画及び電磁的記録に係る情報の適正かつ効率的な管理、保存及びその運用について、総合的かつ体系的な仕組みの整備に取り組むものとする。

5 議会及び市長等は、個人の権利及び利益を保護するため、それぞれが保有する個人情報を別に定める太宰府市個人情報保護条例に則り、適正に取り扱うものとする。この場合において、その取り扱いに際しては、他の保護すべき権利及び利益に十分に配慮しなければならない。

(市民参画)

第15条 議会及び市長等は、市政に関する計画又は政策の立案の段階から、公正かつ透明性を持った市民参画の機会を積極的に創出し、市民の意見が市政運営に適切に反映されるよう努めなければならない。

2 市長等は、市民に対し、市民参画を有意義なものにするために必要な資料等を提供するものとする。

3 前2項に定めるもののほか、市長等は、市民の意見、要望及び提案を受け付けるとともに、意見等に対する処理の結果を明らかにする等、誠実に対応するものとする。

(住民投票)

第16条 市内に住所を持つ有権者(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第9条第2項に規定する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者。以下「有権者」という。)は、市政の重要事項について、それぞれの事案に応じて別に定める条例により、投票を通じて自らの意思を明らかにすることができる。

2 前項の条例は、投票に付すべき事項、投票手続、その他住民投票の実施に必要な事項を定めるものとする。

3 議会及び市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。

4 有権者は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第1項に基づきその50分の1の署名により、第1項の条例の制定改廃を求めることができる。

(協働)

第17条 市民、コミュニティ、議会及び市長等は、市民による主体的な取り組みを基本としつつ、まちづくりの推進に当たって協働を行うよう努めるものとする。

2 前項の場合において、市長等は、市民及びコミュニティの自主性及び自律性を損なわないよう配慮しなければならない。

3 市長等は、協働の実態が前項の定めるところに合致しているかどうかを精査し、協働によるまちづくりを効果的に推進するための手続き等の整備及びその改善に努めなければならない。

4 市長等は、まちづくりの推進を目的として主体的に活動する市民及びコミュニティに対し、必要かつ適切な支援を行うよう努めるものとする。

第7章 市政運営の基本原則

(総合計画等)

第18条 市長等は、総合的かつ計画的な市政運営を行うため、市の目指すべき将来像を定める総合計画のうち基本構想及び基本計画を策定する場合には、立案段階から市民参画の機会を設け、議会の議決を受けなければならない。

2 市長等は、各行政分野の基本的な計画(以下「行政分野別基本計画」という。)を策定するときは、総合計画との整合性に配慮するものとし、関連する行政分野別基本計画との調整を図らなければならない。

3 市長等は、総合計画及び行政分野別基本計画の目標及び期間を明示するとともに、進行の状況を適切に管理し、市民に分かりやすく公表するものとする。

4 市長等は、前項に規定する各計画が社会経済情勢の変化に対応したものとなるよう、市民参画の機会を設け定期的に検討を加えるとともに、必要に応じて見直すものとする。

(政策法務)

第19条 議会及び市長等は、地域課題に対応した自主的な政策等を実行するため、地方自治の本旨に基づいて法令を解釈し、及び運用するとともに、主体的かつ積極的に条例等を立案するよう努めるものとする。

2 市民は、自らも政策法務の主体であることから、前項の法令の解釈及び運用について、必要な意見を述べることができる。

(財政運営)

第20条 議会及び市長等は、中長期的な展望に立って、財政の健全性の確保に努めるものとする。

2 議会及び市長等は、創意工夫による経費節減及び収入増に積極的に取り組むとともに、行政サービスの向上及び良好な市政運営の推進を図るよう、常に検討を加えなければならない。

3 議会及び市長等は、予算、決算その他財政に関する事項について、市民に分かりやすく公表するよう努めるものとする。

4 市長等は、その所管する財産の適正な管理及び効率的な運用を行い、その状況について分かりやすく公表するよう努めるものとする。

(組織及び人事政策)

第21条 市長等は、柔軟な課題対応及び部局間連携を可能とする組織体制の整備及び充実に努めるものとする。

2 市長等は、第12条に規定する職員の役割及び責務の遂行並びに組織力の発揮のため、効果的かつ計画的な人事政策の運用に努めなければならない。

(行政評価)

第22条 市長等は、市民に対する説明責任を果たし、効率的かつ効果的な市政運営を図るため、行政評価を実施するものとする。この場合において、市民及び専門家等の参画のもとに実施するものとする。

2 市長等は、行政評価の結果を市民に分かりやすく公表し、その結果を施策等に適切に反映させるものとする。

3 市長等は、必要な行政サービスを効率的かつ効果的に提供するため、行政評価等を通じて事務事業等の改善に努めなければならない。

(外部監査)

第23条 市長は、適正で、効率的かつ効果的な行財政の運営を確保するため、必要に応じて、外部監査契約を締結した地方自治法第252条の28に規定する者(以下「外部監査人」という。)に監査を実施させることができる。

2 有権者は、地方自治法第75条第1項の請求をする場合において、併せて、当該請求に係る監査について監査委員の監査に代えて、前項の外部監査人の監査によることを請求することができる。

(審議会等)

第24条 市長等は、審議会等(地方自治法第202条の3に規定する附属機関その他これに準ずる機関をいう。)の委員を選任する場合は、適正な委員構成に努めるとともに、原則としてその一部を市民からの公募によって選任するものとする。

2 市長等は、前項の公募を行うときは、選考過程の透明性及び客観性の確保に努めなければならない。

3 市長等は、原則として、審議会等の会議を公開するとともに、会議録及び資料を公表するものとする。

(パブリック・コメント)

第25条 市長等は、市政に係る重要な政策等を策定するときは、別に定めるところにより、事前にその案並びに趣旨、目的及び内容等を明確にした資料等を公表し、広く市民等の意見を求めるものとする。

2 市長等は、前項の規定により提出された意見を踏まえて政策等を定めるとともに、提出された意見の取り扱いの結果及びその理由を公表しなければならない。

(公益通報)

第26条 市長等は、適法な市政運営を確保するため、市政運営に係わる違法又は不当な行為について、別に定めるところにより、職員等から行われる通報を受ける体制を整備するとともに、通報者が当該通報を行うことにより、不利益を受けないよう適切な措置を講じなければならない。

(危機管理)

第27条 市長等は、市民及び来訪者等の安全を確保し、災害等の発生時に適切かつ迅速に対処するため、防災・減災の基盤整備を行うとともに、危機管理体制を整備しなければならない。

2 市民は、日頃から災害等の発生に備えるとともに、災害等の発生時には、自らの安全を確保するよう努めなければならない。

3 コミュニティは、日頃から地域における防災体制を整え、防災訓練等を行うとともに、災害等の発生時には、地域の中で互いに協力して対処するよう努めるものとする。

4 市長等は、災害等の発生時及びその前後において、市民及び来訪者等の生命、身体及び財産の安全を確保するため、市民、コミュニティ及び関係機関並びに他の地方公共団体及び国と相互に連携し、及び協力しなければならない。

(国及び他の地方公共団体等との連携)

第28条 市長等は、行政サービスの向上又はまちづくりの推進及び広域的な課題を解決するため、国及び他の地方公共団体並びにその他必要と認める団体等との積極的な連携に努めなければならない。

第8章 条例の見直し

(条例の見直し)

第29条 市民は、この条例が適切に運用されているか及び社会情勢に適合したものか等について、市長等に意見を述べることができる。

2 市長は、この条例の施行の日から4年を超えない期間ごとに、この条例が第1条に規定する目的の実現に寄与しているかについて、前項の規定により提出された意見を参考に検証するとともに、市民参画による検討を行うものとする。

3 市長は、前項の市民参画による検討の結果を受けて、条例の見直しについて検討した結果等を、議会に報告するとともに、この条例の見直しが適当であると認めるときは、必要な措置を講じるものとする。

附 則

この条例は、平成29年4月1日から施行する。