岸和田市自治基本条例
自治体データ
自治体名 | 岸和田市 | 自治体コード | 27202 |
都道府県名 | 大阪府 | 都道府県コード | 00027 |
人口(2015年国勢調査) | 190,658人 |
条例データ
制定年 | 2004年 |
条例類型 | 自治基本条例 |
明記された参加手法 | パブリックコメント公聴会 審議会委員の市民公募 住民投票地域協議会等 |
参加権規定の有無 | 有 |
協働事業提案の有無 | 無 |
関連条例の有無 | 無 |
特徴 | 本条例は派生条例が多いのが特徴で、派生条例は自治基本条例制定翌年の2005年6月にまとめて制定された。派生条例として、住民投票条例、意見聴取の手続に関する条例、審議会等の委員の公募に関する条例、審議会等の会議及び会議録の公開に関する条例、外部監査契約に基づく監査に関する条例(当DB未収録。岸和田市サイトを参照)が該当する。 |
条例ホームページ (2012年10月末日現在) |
http://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/jichikihon-jourei/ |
条例本文
○岸和田市自治基本条例
平成16年12月10日条例第16号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市民及び事業者の権利及び責務(第4条―第7条)
第3章 市議会(第8条―第10条)
第4章 市長、他の執行機関及び職員の責務(第11条―第13条)
第5章 コミュニティ活動(第14条・第15条)
第6章 協働及び参画(第16条―第20条)
第7章 市政運営の原則(第21条―第29条)
第8章 国、大阪府、他の地方公共団体及び関係機関との関係(第30条・第31条)
第9章 最高規範性(第32条)
第10章 条例の見直し等(第33条・第34条)
附則
前文
私たちは、茅(ち)渟(ぬ)の海から和泉葛城の山に至る美しく豊かな自然に対して深い愛着を抱いています。青い海と空をこよなく愛し、水の恵みと大地の実りへの感謝の気持ちを忘れず、その源となる山々への畏(い)敬の念を胸に強く刻み込んできました。
私たちのまちは、この恵まれた地勢をいかした農業や林業、水産業を中心としながら、一方で、地場産業を育み、工業化を進め、都市として発展してきました。
また、城下町としての歴史と伝統が息づき、だんじり祭りをはじめとした伝統行事や民俗文化が継承されてきています。
私たちは、いにしえより先人たちが守り続けてきたこれらの自然と、起こし育ててきた産業や伝統、培われてきた文化を受け継ぎ、次世代へ引き継いでいかなければなりません。
これらを礎としながら、平和を願い、次代を担う子どもたちを育み、それぞれの責任と役割を自覚し、助け合いながら、一人ひとりの命の尊さや人間の尊厳を認識し、すべての人権を尊重する豊かなまちづくりに取り組んでいきます。
私たちは、市民が自治の主体、市政の主権者であることを認識し、自らの地域は自らの手で築いていこうとする意思を明確にし、自ら考え、行動することで、常に安心していつまでも住み続けることができる、個性豊かな持続性のある地域社会、すなわち「市民自治都市」の実現を目指します。
今、ここに「市民自治都市」を実現していくための基本原理として岸和田市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、岸和田市における自治の基本理念を明らかにし、市民及び事業者の権利及び責務並びに市長及び議会の権能及び責務を明確にするとともに、市政に関する基本的な事項を定めることにより、市民自治都市を実現し、市民福祉の向上を目指すことを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に住み、働き、若しくは学ぶ人又は市内に事業所を置く次号に規定する事業者をいう。
(2) 事業者 市内で事業活動を行う者をいう。
(3) 参画 市の政策の立案、実施及び評価に至る過程に、責任を持って主体的に関与することをいう。
(4) 協働 市民、事業者及び市が、それぞれの責任と役割分担に基づき、互いの特性を尊重しながら協力しあうことをいう。
(基本原則)
第3条 第1条の目的を達成するため、次の各号に掲げることをこの条例の基本原則とする。
(1) 市民、事業者及び市は、一人ひとりの人権を尊重すること。
(2) 市民及び市は、互いに市政に関する情報を共有しあうこと。
(3) 市民は、市政への参画の機会が保障されること。
(4) 市民、事業者及び市は、協働してまちづくりを行うこと。
(5) 市民の公益的活動は、自主性を基本とし、尊重されること。
第2章 市民及び事業者の権利及び責務
(市民の権利)
第4条 市民は、自己の責任において的確に判断できるよう、市政に関する情報を知る権利及び市政に参画する権利を有する。
2 前項に規定する市民の権利は、公共の福祉に反しない限り最大限に尊重され、市民は、権利の行使に際しては不当に差別的な扱いを受けない。
(市民の責務)
第5条 市民は、相互に多様な価値観を認め合い、自らの発言と行動に責任を持ち、まちづくりに取り組むよう努める。
2 市民は、持続可能なまちづくりを進めるため、環境の保全に努める。
3 市民は、市政に関する認識を深め、市と協働して地域社会の発展に寄与するよう努める。
(事業者の権利)
第6条 事業者は、自己の責任において的確に判断できるよう、市政に関する情報を知る権利を有する。
2 前項に規定する事業者の権利は、公共の福祉に反しない限り最大限に尊重され、事業者は、権利の行使に際しては不当に差別的な扱いを受けない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、事業活動を行うに当たり、自然環境及び生活環境に配慮するよう努める。
2 事業者は、社会的な役割を自覚し、市民及び市と協働しながら地域との調和を図るよう努める。
第3章 市議会
(議会の権能)
第8条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)の定めるところにより、条例の制定改廃、予算の決定、決算の認定等を議決するほか、市政に関する事項で別に法令及び条例で定められた事項について議決する。
2 議会は、市民の意思が市政に反映され、適正に市政運営が行われているかを監視し、けん制する権能を果たさなければならない。
(議会の責務)
第9条 議会は、会議を公開するとともに、議会の保有する情報を市民と共有し、開かれた議会運営に努める。
2 議会は、自らの権能と責務に関する基本的な条例を定め、市民に対し、議会の役割を明確にするよう努める。
(議員の責務)
第10条 議員は、議会活動に関する情報、市政の状況等について、市民に対して説明するよう努める。
2 議員は、市政調査、議案提出等の権能を積極的に活用するよう努める。
3 議員は、市民福祉の向上のため、第8条に規定する議会の権能を踏まえ、前条に規定する議会の責務及び前2項に規定する議員の責務を果たすよう努める。
第4章 市長、他の執行機関及び職員の責務
(市長の責務)
第11条 市長は、市政の代表者として、毎年市政の基本方針を明らかにし、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 市長は、市民の意向を適正に判断し、市政の課題に対処したまちづくりを推進しなければならない。
3 市長は、人材の育成を図るとともに、職員を指揮監督し、その能力を評価し、適正に配置するよう努めなければならない。
(他の執行機関の責務)
第12条 市長を除く執行機関は、その職務に応じて、市長と同様の責務を負い、市長及び他の執行機関と協力して市政の運営に当たらなければならない。
(職員の責務)
第13条 職員は、市民本位の立場に立ち、公正かつ誠実で効率的にその職務を遂行しなければならない。
2 職員は、職務の遂行に当たっては、法令及び条例等を遵守しなければならない。
3 職員は、職務についての必要な知識や技術等の能力開発及び自己啓発を行うとともに、職務の遂行に当たっては、創意工夫に努めなければならない。
第5章 コミュニティ活動
(コミュニティ活動)
第14条 市民は、安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を実現するため、自主的な意思によってまちづくりに取り組み、お互いに助け合い、地域の課題を共有し、解決に向けて自ら行動するよう努める。
2 市長は、前項に規定する市民の自主的な地域における活動(以下「コミュニティ活動」という。)の役割を尊重しながら適切な施策を講じなければならない。
(地区市民協議会)
第15条 市民は、前条に規定するコミュニティ活動を小学校区単位で実現するための組織として、地区市民協議会を設立することができる。
2 地区市民協議会は、当該地域の市民に開かれたものとし、市、町会、自治会その他組織と連携しながら協力してまちづくりを行う。
第6章 協働及び参画
(協働)
第16条 市民、事業者及び市は、相互理解と信頼関係のもとにまちづくりを進めるため、協働するよう努める。
2 市は、前項に規定する協働を推進するに当たり、市民及び事業者の自発的な活動を支援するよう努める。この場合において、市の支援は、市民及び事業者の自主性を損なうものであってはならない。
(参画)
第17条 市は、意見聴取その他の多様な制度を設け、又は施策を講じることで、市民が参画する機会を保障しなければならない。
2 市は、市民が参画できないことによって不利益を受けることのないよう配慮しなければならない。
(意見聴取制度)
第18条 市長及び他の執行機関は、次の各号に掲げる事項のうち市民生活に重要な影響を及ぼすものについては、市民に当該事項に関する情報を提供し、意見を求めなければならない。
(1) 計画の策定、変更又は廃止
(2) 条例の制定、改正又は廃止
(3) 施策の実施、変更又は廃止
2 市長及び他の執行機関は、前項の規定により意見を求めるときは、適切な方法を選択し、市民から提示された意見に対して回答し、これを公表しなければならない。
3 前2項に規定する意見の聴取に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
(審議会等の運営)
第19条 市長及び他の執行機関は、市の執行機関に設置する審議会等の委員を選任する場合は、委員構成における中立性の保持に留意するとともに、原則としてその一部を市民からの公募により行わなければならない。
2 市長及び他の執行機関は、審議会等の会議及び会議録を原則として公開しなければならない。
3 前2項に規定する審議会等の委員の公募並びに会議及び会議録の公開に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
(住民投票)
第20条 市長は、岸和田市が直面する将来にかかわる重要課題について、定住外国人を含む住民のうち18歳以上の者が、その総数の4分の1以上の者の連署をもって住民投票を市長に請求したときは、直接住民の意思を問うため住民投票を実施しなければならない。
2 住民投票の投票権を有する者は、定住外国人を含む住民のうち18歳以上の者とする。
3 市は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
4 住民投票の実施に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
第7章 市政運営の原則
(情報の共有)
第21条 市は、市政に関する情報を積極的に提供することにより、市民との情報の共有に努めなければならない。
(個人情報の保護)
第22条 市は、別に条例に定めるところにより、保有する個人情報の開示、訂正、利用停止等を請求する権利を明らかにすることにより、個人の権利利益を保護しなければならない。
2 市は、収集した個人情報に関しては、厳重にこれを管理し、原則として本人以外に開示してはならない。
(説明責任)
第23条 市長及び他の執行機関は、政策の立案、実施及び評価に至る過程において、その経過、内容、効果等について市民にわかりやすく説明する責任を果たさなければならない。
(総合計画)
第24条 市は、この条例の理念にのっとり、市政の運営を図るための総合的な計画(以下「総合計画」という。)を定めなければならない。
2 市長は、総合計画の内容を実現するため、適切な進行管理を行わなければならない。
3 市長は、総合計画が社会の変化に対応できるよう常に検討を加え、必要に応じて見直しを図らなければならない。
(組織)
第25条 市は、社会情勢に柔軟に対応し、政策を着実に実現するため、簡素で機能的かつ市民にわかりやすい組織の編成に努め、常にその見直しに努めなければならない。
2 市は、効率的かつ効果的に組織を運営しなければならない。
(法務)
第26条 市は、市の事務に関する法令の解釈に当たっては、法令の調査研究を重ね、自主的かつ適正な解釈に努めなければならない。
2 市は、地域の特色をいかした政策を実現するため、条例制定権の活用に努めなければならない。
(財政)
第27条 市長及び他の執行機関は、総合計画に基づく政策目標を達成するため、財政計画に基づき、健全で持続可能な財政運営を行わなければならない。
2 市長は、市及び市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人その他の団体については、その財政状況を一体的に捉え、市民にわかりやすく公表しなければならない。
3 市長は、市政運営の透明性を確保するため、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの10分の1以上2分の1未満の割合で出資している法人その他の団体については、その財政状況を市民にわかりやすく公表するよう努めなければならない。
4 市長及び他の執行機関は、市が保有する財産を明らかにし、適正に管理するとともに効果的に活用しなければならない。
(行政評価)
第28条 市長は、総合計画に基づき実施し、又は実施しようとする施策等については、その成果及び到達度を明らかにするため、行政評価を実施し、その結果を公表しなければならない。
2 市長は、行政評価の結果に基づき、施策等を見直すとともに、総合計画の進行管理及び予算の編成に反映させなければならない。
(外部機関その他第三者による監査)
第29条 市は、適正で、効率的かつ効果的な行財政の運営を確保するため、必要に応じて外部機関その他第三者(以下「外部機関等」という。)に監査を実施させることができる。
2 住民は、前項に規定する目的を達成するため、市に対して監査委員に代えて外部機関等による監査の実施を請求することができる。
3 市は、前項に規定する請求があったときは、外部機関等に監査を実施させることができ、その結果を公表するものとする。ただし、監査を実施させないときはその理由を公表するものとする。
4 前3項に規定する外部機関等による監査の実施に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
第8章 国、大阪府、他の地方公共団体及び関係機関との関係
(国及び大阪府との関係)
第30条 市は、国及び大阪府と対等の関係にあることを踏まえ、適切な役割分担を行い、自立した地方自治を確立するよう努める。
(他の地方公共団体及び関係機関との関係)
第31条 市は、他の地方公共団体及び関係機関との共通課題又は広域的課題に対しては、自主性を保持しつつお互いに連携し、協力し合いながら解決に当たるよう努める。
2 市は、前項に規定する課題を解決するため、他の地方公共団体及び関係機関と共同で組織を設けることができる。
第9章 最高規範性
(最高規範性)
第32条 この条例は、市民自治及び市政に関する最高規範であり、市民、事業者及び市は、誠実にこれを遵守しなければならない。
2 市は、この条例の理念にのっとり、市政運営及び施策の実現に向けた基本的な制度の整備に努めるとともに、条例及び規則等の体系化を図らなければならない。
第10章 条例の見直し等
(条例の見直し)
第33条 市長は、この条例の施行の日から5年を超えない期間ごとに、各条項がこの条例の理念を踏まえ、本市にふさわしく、社会情勢に適合したものかどうかを検討するものとする。
2 市長は、前項に規定する検討の結果を踏まえ、この条例及びこの条例に基づく制度等の見直しが適当であると判断したときは、必要な措置を講じるものとする。
3 市長は、第1項に規定する検討及び前項に規定する必要な措置を講じるに当たっては、市民の意見を聴取しなければならない。
(その他)
第34条 この条例の施行に関し、別に条例で定めるものを除くほか、必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、公布の日から起算して9月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。(平成17年6月22日規則第31号で、同17年8月1日から施行)