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リモージュ(仏)の「リオ+20」に向けた法律家・NGO会合に出席しました!

2011年9月29日~10月1日まで,フランスの中部に位置するリモージュで開かれた国際環境会議に出席しました(英語プログラムはこちら)。リモージュ大学は,プリウ(Michel Prieur)法学部名誉教授・国際比較環境法センター長(C.I.D.C.E)を中心とするフランス環境法の一大拠点です。

英語とフランス語の同時通訳付きですが,フランス人以外の報告者も,多くがフランス語で報告(下の写真)。英語で行われたP氏の報告について,司会者が「イヤホーンの調子が悪く,私は英語はボブ・ディランくらいしか聞かないので,よくわからなかった」と発言したのには,フランスならではと驚きました・・・。少々先行き不安になりましたが,偶然,フランス語が達者な新進気鋭のH氏に遭遇して一安心。また,USBで配付された要旨集が大いに役立ちました。

環境と人権,新たな環境条約の可能性(景観条約,アセス条約等),国際環境裁判所を含む新たな国際環境機関の設立等,リオ+20をにらみ,テーマは盛りだくさん。オーフス3原則を加盟国以外にどのように広げていくのかも,論点の1つとなりました。なかでも,EU最大の環境NGOであるEEBのJ.Wates事務局長の報告では,①オーフス条約の加盟国拡大,②複数の地域条約の採択,③UNEPガイドライン方式の活用,④個別条約とのリンケージといった具体的な選択肢が示されました。さすがオーフス条約の前事務局長だけあります。また,公益訴訟の訴権を有するブラジルの検察官Kishi氏の報告,バーモント州環境裁判所のWright判事の報告も明快でした。バーモント州環境裁判所は,アメリカで唯一の環境裁判所。コーヒーブレークの際に,インド最大の環境弁護士事務所のUpadhyay氏,フィリピンのTolentino氏等と出会い,アジアやアフリカの環境訴訟の最新動向を知ることもできました。原告適格の拡大から特別裁判所の設置に至るまで,さまざまな形で環境公共利益訴訟の展開がみられることを改めて実感。最終日には,リオ+20に向けた提言がとりまとめられ,賛同する人は,電子署名をすることができます(→署名はこちらから)。

プログラムが終日ぎっしり詰まっていたため,大好きなリモージュ食器(我が家のお気に入り=下の写真左上)をじっくり見ることはできませんでしたが,早朝に歴史地区を散歩したり(歴史的町並み=同右上,裁判所=同左下),地元の方お勧めのレストランで夕食を食べたりなど(郷土料理のお店=同右下),あっという間の3日間でした。

Filed under: 啄木鳥日誌 — woodpecker 公開日 2011/11/25(金) 10:51

環境・法的救済法の改正について,ドイツ連邦環境省でヒアリング

ドイツでは,他のEU加盟国に比して団体訴訟が制限されていました。幅広く団体訴訟を認めるよう求める改正環境アセスメント指令(オーフス条約に対応するための改正)を受けて,2006年に環境・法的救済法が制定されましたが,これも環境団体の主張制限を設けた奇妙な法律でした。この主張制限をEU法違反であるとしたリューネン石炭火力発電所訴訟(トリアネル訴訟)判決が出されたのは,今年の5月12日。ドイツ連邦環境省は,早速法改正に着手しました(これらの点については,「環境アセスメント指令と環境団体訴訟―――リューネン石炭火力訴訟判決の意義」甲南法学 第51巻 第4号(甲南大学法学部開設50周年記念号下巻)65-88頁を参照)。

法案の公表を直前に控え,2011年9月19日に,連邦環境省でオーフス条約を担当するハート(P.Hart)氏に面談し,法案の骨子についてお話を伺いました。一言で言えば,主張制限を削除するほかは現状維持という内容。判決によりEU法違反と指摘された部分について最低限の改正を行うという方針であるとのことです。

ドイツ連邦環境省は,ポツダム広場のすぐ近くに移転したばかり。建物の外壁はまだ改装中で,一回通り過ぎてしまいましたが,

昔ながらの内装は,そのまま活かされています。ベルリンの壁の崩壊以降,何回かポツダム広場を訪れましたが,今はすっかり観光スポット。

占領下のベルリンの7つのビザスタンプを押してくれるサービスも人気を博していました(下の写真=上)。貸自転車(同左下)やベロタクシー(同右下)も乗り手を待っています。

Filed under: 啄木鳥日誌 — woodpecker 公開日 2011/11/24(木) 06:30
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