徳島県社会貢献活動の促進に関する条例
(平成十六年三月三十日徳島県条例第十号)
県民一人一人が、地域社会を支える主役であるとの認識を持って行動することは、
私たちの郷土が、今後も県民の夢を実現する舞台として光り輝き、世界に誇れる地
域となるために、不可欠なことである。
これまで、私たちの郷土においては、吉野川、鳴門の渦潮及び剣山をはじめとす
る豊かな自然の下で、いやしともてなしの文化に基づく活動が様々な分野において
培われ、こうした先人から受け継がれてきた活動が、今日の私たちの郷土の発展に
大きく寄与してきた。
今、地方分権の時代を迎え、国際化、少子高齢化社会の進展並びに個人の価値観
及び生活スタイルの多様化といった大きな潮流の中で、本州四国連絡橋により近畿
と四国の交流拠点となった私たちの郷土を取り巻く社会環境も急速に変化しつつあ
る。これに伴い、地域社会の抱える課題も多岐にわたり、現在の社会システムでは
これらの課題に十分に対応できない状況も生じてきている。このような状況の中で、
先人から脈々と培われてきた社会貢献活動は、行政及び事業者とともに社会システ
ムの一翼を担い、地域社会の課題に柔軟に、かつ、きめこまやかに対応する活力と
して、大きな期待を集めている。
ここに、私たちは、こうした社会貢献活動をより一層促進することにより、県民、
行政、事業者等の地域社会の構成員が、相互理解に基づく対等な関係の下に、積極
的に連携し、協力する郷土づくり、すなわち、県民一人一人の参加と協働による夢
と活力でにぎわう郷土づくりを目指し、この条例を制定する。
(目的)
第一条この条例は、社会貢献活動の促進について、基本理念を定め、並びに県の
責務並びに県民、社会貢献活動団体、事業者及び市町村の役割を明らかにすると
ともに、社会貢献活動の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、
社会貢献活動を総合的に促進し、もって夢と活力でにぎわう郷土づくりに寄与す
ることを目的とする。
(定義)
第二条この条例において「社会貢献活動」とは、営利を目的とせず、不特定かつ
多数のものの利益の増進に寄与することを目的として、自発的に行われる活動で
あって、次の各号のいずれにも該当しないものをいう。
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一宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる
目的とする活動
二政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とす
る活動
三特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職
をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しく
は公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的
とする活動
2 この条例において「社会貢献活動団体」とは、社会貢献活動を主たる目的とし
て継続的に行う法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第三条社会貢献活動の促進に当たっては、社会貢献活動の自発性が尊重されると
ともに、自立性が確保されるように配慮しなければならない。
2 社会貢献活動の促進は、県民、社会貢献活動団体、事業者、市町村及び県が相
互理解に基づく対等な関係の下に協働することを旨として、行われなければなら
ない。
(県の責務)
第四条県は、前条に定める社会貢献活動の促進についての基本理念(以下「基本
理念」という。)にのっとり、社会貢献活動の促進に関し必要な施策を策定し、
及びこれを総合的に調整しながら実施するものとする。
(県民の役割)
第五条県民は、基本理念にのっとり、社会貢献活動の意義についての理解を深め
るとともに、社会貢献活動に積極的に参加するように努めるものとする。
(社会貢献活動団体の役割)
第六条社会貢献活動団体は、基本理念にのっとり、社会貢献活動を行うとともに、
その活動を自ら評価し、その活動に関する情報を積極的に公開することにより、
社会貢献活動に対する県民の理解を得るように努めるものとする。
(事業者の役割)
第七条事業者は、基本理念にのっとり、地域社会の構成員として、社会貢献活動
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が円滑に推進されるように支援する等により、社会貢献活動の促進に努めるもの
とする。
(市町村の役割)
第八条市町村は、基本理念にのっとり、当該市町村の区域の実情に応じて、社会
貢献活動の促進に努めるものとする。
(施策の基本方針)
第九条知事は、社会貢献活動の促進に関する施策の基本方針(以下「基本方針」
という。)を定めるものとする。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一社会貢献活動の促進に関する施策の基本的事項
二社会貢献活動の促進に関する施策の策定及び実施に際し配慮すべき事項
三前二号に掲げるもののほか、社会貢献活動の促進に関する重要事項
3 知事は、基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、県民から広く意見を聴
くものとする。
4 知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前二項の規定は、基本方針の変更(軽微なものを除く。)について準用する。
(県民の理解の促進)
第十条県は、社会貢献活動への県民の理解を深めるため、啓発活動、学習機会の
提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第十一条県は、社会貢献活動への県民の参加を促進するため、情報の提供その他
の必要な措置を講ずるものとする。
(人材の育成)
第十二条県は、社会貢献活動に関する専門的な知識を有する人材を育成するため、
必要な措置を講ずるものとする。
(交流及び連携の促進)
第十三条県は、県民、社会貢献活動団体、事業者、市町村及び県の相互の交流及
び連携を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(拠点機能の整備)
第十四条県は、社会貢献活動の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進する
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ため、社会貢献活動を促進するための拠点となる機能の整備及び充実に努めるも
のとする。
(税制上の措置)
第十五条県は、社会貢献活動を促進するため、必要な税制上の措置を講ずるよう
に努めるものとする。
(財政上の措置)
第十六条県は、社会貢献活動の促進に関する施策を推進するため、必要な財政上
の措置を講ずるように努めるものとする。
(補則)
第十七条この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知
事が別に定める。
附則
この条例は、平成十六年四月一日から施行する。