○鴻巣市自治基本条例
平成24年6月28日
条例第24号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 基本原則(第3条)
第3章 市民の権利及び責務(第4条・第5条)
第4章 議会及び議員の責務(第6条・第7条)
第5章 市長等の責務(第8条―第10条)
第6章 情報公開及び個人情報保護(第11条・第12条)
第7章 参加及び協働(第13条―第17条)
第8章 市政運営(第18条―第23条)
第9章 危機管理(第24条)
第10章 国及び他の地方公共団体との連携及び協力(第25条)
第11章 この条例の見直し(第26条・第27条)
第12章 この条例の位置付け(第28条)
第13章 事業者等への準用(第29条)
附則
鴻巣市は、埼玉県のほぼ中央部に位置しています。
その歴史は古く、約20,000年前の旧石器時代まで、遡ることができます。
江戸時代に入って中山道が定められると、交通の要衝となり、県内屈指の宿場として繁栄し、また、旅人が休息する間あいの宿しゅくとしても栄えました。
そして同時代には、人形作りが始められるとともに新田開発も進み、伝統工芸と美しく豊かな田園が、今日に受け継がれています。
鴻巣市は、まちづくりを支える「人」、全国に誇る「花」、河川や田園風景に代表される「緑」など、貴重な財産を有しています。
こうした先人たちの築き上げてきた豊かで恵まれたまちを次の世代へと引き継いでいくため、市民及び市を挙げて、市民自治の実現を目指します。
そもそも、まちづくりの主役は市民であり、市民が主体であります。市民は、自らのために、決定し、行動し、その成果を享受するとともに、その責任も市民自らが負うものです。
一方、まちづくりが、広域にわたったり、大規模なものであったり、高い専門性を有することなどから、個々の市民自らの努力はもとより、地域を中心とする多くの市民が共に助け合ってもなお、解決が容易ではない課題が存在することも事実です。
そのため、市民は、必要な財源を負担し、それらの課題の解決を市に信託し、市は、それぞれの果たすべき役割、与えられた権限及びその責任を十分に自覚し、市民の信託に応えなければなりません。
市民及び市は、この基本理念を尊重し、情勢の変化に適応した市民自治が確立されるよう、不断の努力を重ねていきます。
ここに、安全・安心を基盤とし、豊かで活力のある鴻巣市を築いていくため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市における自治の基本原則を明らかにし、市民の権利及び責務並びに市の責務並びにまちづくりに関する制度、仕組みその他の基本的事項を定めることにより、参加及び協働によるまちづくりの推進を図り、もって活力に満ちた暮らしやすいまちを実現することを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に住所を有する個人をいう。
(2) 事業者等 市内で事業その他の活動を行う個人又は法人その他の団体及び市内に通勤し、又は通学する個人をいう。
(3) まちづくり 住みよい、豊かで活力のあるまちをつくるためのすべての公共的活動をいう。
(4) 参加 市の施策について、計画、実施、評価等に主体的に加わることをいう。
(5) 協働 市民及び市が、それぞれの役割と責任の下、対等な立場で連携し、及び協力することをいう。
(6) 市 議会及び市長その他の執行機関をいう。
第2章 基本原則
(基本原則)
第3条 市民及び市は、それぞれが持つまちづくりに関する情報について共有することを原則とする。
2 市長その他の執行機関は、市民に参加の機会の充実を図ることを原則とする。
3 市民及び市は、それぞれの立場を理解して信頼関係を深め、協働によるまちづくりを推進することを原則とする。
第3章 市民の権利及び責務
(市民の権利)
第4条 市民は、市が保有する情報を知る権利を有する。
2 市民は、まちづくりの主体として参加する権利を有する。
(市民の責務)
第5条 市民は、主体的にまちづくりに加わり、自らが持つ経験、知識及び能力を活用して、まちづくりに取り組むよう努めるものとする。
2 市民は、まちづくりの主体であることを自覚し、自らの発言と行動に責任を持つものとする。
第4章 議会及び議員の責務
(議会の責務)
第6条 議会は、意思決定機関として、市民の意思が市政に反映されるよう努めなければならない。
2 議会は、適正に市政が運営されているかを監視し、けん制する機能を果たさなければならない。
3 議会は、議会に関する情報を公開し、開かれた議会運営に努めなければならない。
(議員の責務)
第7条 議員は、市民の意思を把握し、公平、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 議員は、議会の活動に関する情報を市民に提供するよう努めなければならない。
3 議員は、政策立案能力を発揮するために常に自己研さんに励むものとする。
第5章 市長等の責務
(市長の責務)
第8条 市長は、公平、公正かつ誠実に市政運営に当たらなければならない。
2 市長は、市民の意見を適切に反映させた市政を実現するため必要な施策を講ずるものとする。
3 市長は、効率的な市政運営を図るため、適切な人員の配置に努めるとともに職員の能力を向上させ、職員を指揮監督するものとする。
(市長を除く執行機関の責務)
第9条 市長を除く執行機関は、その設置目的に応じた権限と責任において、公平、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
(職員の責務)
第10条 職員は、全体の奉仕者として、公平、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
2 職員は、職務の遂行に必要な知識の習得及び技能の向上に努めなければならない。
3 職員は、積極的に市民と連携し、まちづくりを推進するものとする。
第6章 情報公開及び個人情報保護
(情報の公開、提供及び共有)
第11条 市は、市民に対し、適正に市政に関する情報の公開及び提供を行わなければならない。
2 市民及び市は、まちづくりを推進するため、情報を共有するものとする。
(個人情報の保護)
第12条 市は、保有する個人情報を適正に取り扱い、当該個人情報を保護しなければならない。
第7章 参加及び協働
(参加及び協働の推進)
第13条 市民及び市は、参加及び協働によるまちづくりを推進するものとする。
2 市長その他の執行機関は、参加によるまちづくりを推進するに当たり、市民が様々な参加の機会を得られるよう、必要な措置を講ずるものとする。
3 市長その他の執行機関は、協働によるまちづくりを推進するに当たり、市民の自主的及び自立的な活動を尊重するものとする。
(審議会等の委員の選任)
第14条 市長その他の執行機関は、審議会その他の附属機関及びこれに類するものの委員を選任するときは、公募による市民を加えるよう努めなければならない。
(意見公募手続)
第15条 市長その他の執行機関は、市の基本的な計画及び重要な条例の策定等に当たっては、特別な理由がある場合を除きその内容を公表し、市民に意見を求めなければならない。
(コミュニティ)
第16条 市民は、自治会、町内会その他の地域で活動する公共性の高い団体に加わるよう努めなければならない。
2 市長その他の執行機関は、前項の団体の自主的及び自立的な活動を尊重し、必要な支援をしなければならない。
3 市長その他の執行機関は、第1項の団体以外の団体が行う公共的活動を支援することができる。
(住民投票)
第17条 本市の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、市長に対し、住民投票の実施を請求することができる。
2 市長は、前項の規定による請求があったときは、その旨を公表し、意見を付けて議会に付議しなければならない。
3 議員及び市長は、住民投票に関する発議を行うことができる。
4 市民及び市は、住民投票の結果を尊重するものとする。
5 住民投票の実施に関し必要な事項は、別に条例で定める。
第8章 市政運営
(基本構想)
第18条 市は、総合的かつ計画的なまちづくりを推進するための基本構想を策定しなければならない。
(行政手続)
第19条 市長その他の執行機関は、市民の権利利益の保護に資するため、市政運営における処分その他の行政手続について、公正の確保と透明性の向上を図るものとする。
(説明責任)
第20条 市長その他の執行機関は、施策の計画、実施及び評価のそれぞれの過程において、その経過、内容、効果等について市民に適切な方法により説明しなければならない。
(意見、要望等への対応)
第21条 市長その他の執行機関は、市民の意見、要望等に対して迅速かつ誠実に対応するとともに、適切に処理しなければならない。
(財政運営)
第22条 市長は、健全な財政運営に努め、財政に関する事項を市民に分かりやすく公表しなければならない。
(施策に関する評価)
第23条 市長その他の執行機関は、施策の必要性、効率性等を数値等で客観的に把握して評価しなければならない。この場合において、評価の実施に当たっては、市民に意見を求めるものとする。
2 市長その他の執行機関は、評価の結果を市民に公表するとともに、その結果を市政に反映させるものとする。
第9章 危機管理
(危機管理)
第24条 市は、地震、水害、火災その他の不測の事態(以下「災害等」という。)の発生に備え、市民の生命、身体及び財産を守るための計画及び市民との情報共有の仕組みを整備するものとする。
2 市民は、災害等の発生時に互いに助け合えるよう、日常的な交流に努めるものとする。
3 市民は、災害等の発生時に自らの安全確保を図るよう努めなければならない。
第10章 国及び他の地方公共団体との連携及び協力
(国及び他の地方公共団体との連携及び協力)
第25条 市は、共通する課題を解決するため、国及び他の地方公共団体と対等な立場で連携し、及び協力するよう努めなければならない。
2 市は、国及び県に対し施策の改善等に関する意見又は提案を行うものとする。
第11章 この条例の見直し
(この条例の見直し)
第26条 市長は、社会情勢の変化に対応するため、この条例の規定について検証し、必要に応じてこの条例を見直さなければならない。
(自治基本条例審議会の設置)
第27条 市長は、前条の規定による検証の結果、必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより鴻巣市自治基本条例審議会を設置する。
第12章 この条例の位置付け
(この条例の位置付け)
第28条 この条例は、本市の自治に関する基本的な規範であり、市民及び市は、この条例を尊重するものとする。
2 市は、他の条例、規則等の制定及び改廃並びに施策の実施に当たっては、この条例との整合を図らなければならない。
第13章 事業者等への準用
(事業者等への準用)
第29条 第2条第5号、第3条、第6条から第8条まで、第10条、第11条、第13条、第19条から第24条まで及び前条の規定については、事業者等について準用する。この場合において、「市民」とあるのは「事業者等」と読み替えるものとする。
2 事業者等は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を深く自覚し、地域社会との連携及び協力を図り、まちづくりに貢献するよう努めなければならない。
附 則
この条例は、平成24年10月1日から施行する。